レジ前に首のない少年の遺体が横たわっていた。
おおいさんの手には、少年の首と思しきものがぶら下がり、床を撫でる少年の手が何かを探している――。
その光景を、防犯カメラ越しに見た先輩は、しばらく動けなかったという。
だが、レジの前に戻ったときには、少年の亡骸はどこにもなかった。
この出来事の直前、店のバックヤードには異様なものが保管されていた。
おおいさんという、不可解な客が置いていった3つの針金細工だ。
夜になると、それらはまるで生きているかのようにうねうねと動き出し、他の夜勤スタッフも皆、気味悪がっていた。
ある夜、針金細工のうち一本が動きを弱めて痙攣し始めた。
そしてその翌日、近くの交差点で中学生が事故死したというニュースが流れた。
話はさらに数日前に遡る。
おおいさんは突然現れ、無邪気な声でレジに注文をした。
「どっちかのいのちちょーうだーい」と、レジ前の立ち読み中学生3人のうち誰かの命を欲しがるような奇妙な冗談を言った。
後輩と困惑しながらも、なんとか作り笑いでやり過ごした。
おおいさんが去った後、カウンターには小銭と、例の針金細工が3つ残されていた。
そもそもの始まりは、俺がこのコンビニでバイトを始めたばかりの頃だ。
先輩からは、「おおいさんが来たら目を合わせるな」と忠告されていた。
だが、仕事を覚えるのに必死で、それをすぐに忘れていた。
新人の後輩が入ったことで、夜勤の人手は増えた。
ある夜、休憩中にバックヤードで弁当を食べていると、後輩がレジ前で誰もいないのに深々と頭を下げていた。
呼び出しブザーが鳴り、俺は慌てて店に出た。
そこで、初めて「おおいさん」に出会ったのだ。
まるで悪ふざけのような調子で「こんにちはー、おおいさんです」と名乗るその男。
彼が置いていった針金細工が、後に店に不気味な変化をもたらした。
あの事故死した中学生は、あの夜「いのちちょーだい」とおおいさんが指差した立ち読みの3人のうちの1人だったのだろうか?
誰もはっきりとは答えられない。
ただ、他のコンビニや深夜のレンタルビデオ店で働く友人たちに尋ねても、「おおいさん」を知る者は一人もいなかった。
もしかしたら、どこか別のコンビニでも、こんな話が囁かれているのかもしれない。
仕事・学校の話:「首のない少年と、おおいさん──不可解な深夜コンビニの真実」
「首のない少年と、おおいさん──不可解な深夜コンビニの真実」
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