おおいさん、うちのバイト先でめっちゃヤバいやつやってん話

おおいさんって誰なんか全然わからんねんけど、うちのバイト先のコンビニでは超有名やってん。

「おおいさん来たら、目ぇ合わせんときや」って先輩に教えてもろてんけど、バイト覚えるんで頭いっぱいやったし、すぐ忘れてもたわ。

3ヶ月くらい経ったころ、新人が入ってきてな。
後輩に仕事教えつつ、人増えたし楽できるとこもあって、ちょいハッピーやった。

ほんで、その後輩と夜勤入った日、休憩中にバックヤードで廃棄予定の弁当食べてたんよ。

防犯カメラ見てたら、中学生くらいの子3人が立ち読みしてるん映ってて。

別のカメラには、レジ前でその子らをめっちゃ気にしてる後輩の姿。
万引き対策やねん。

弁当食べ終わって、うちもカメラいじりながら店内見てたんやけど――

そしたら、後輩が誰もおらんのにレジ前でペコペコしてんねん。
は？ってなるやん。

「何してんの？」って思ってたら、後輩が控室の店員呼ぶボタン押して、ブザー鳴ってん。

「うわ、万引きか」って急いでバックヤードから出てったら、レジの前に知らんおっちゃん立ってて。

「いらっしゃいませー！」って大きい声で言うたら、その客が「こんにちはー、おおいさんです」って言うてきて。
え、なにそれ、まじ意味わからん。

「何言うてんねんこいつ」って思ったら、後輩がうちの耳元でこっそりささやいてきた。

「出ましたね、おおいさん。
店長が言うてた人です。
目ぇ合わせたらあかんって」

あー！って急に思い出した。
先輩がガチで忠告してくれてたあの人やん。

後輩が耳打ちしてる間、おおいさんは他の方向いてて、うちは目そらしつつ「はよ帰ってくれ〜」って心の中で叫んでた。

おおいさん、声も無邪気で変な感じでさ。

――「えっとねー、まいるどせぶんとー、あとー、このがむとー、からあげちょうだい」

後輩がレジ打ってる間に、言われた商品棚から取って袋に入れてた。

そしたら、おおいさん「あとねー、どっちかのいのちちょーだーい」って冗談ぽく言うてきて、え、こわ、ってなった。

内心「めんどくさい客やな〜」って思いながら、必死に作り笑い。

――「申し訳ございません。
当店では取り扱っておりません」

って頭下げたら、おおいさんは本棚のほうに首向けて――

――「あそこのさんにんのうちのひとりでいいよー。
いのちちょうーだーい」

いやいや、立ち読みしてる3人は雑誌ガチ勢で万引きもしてへんし！

どうしたらええかわからんくて、後輩と顔見合わせてから、ちょっと大げさに下手に出てみた。

――「申し訳ございません。
彼らは商品ではございませんので……」

おおいさんは笑いながら小銭出して、レジカウンターに置いていった。

――「ははは、じゃ、ぜんぶもーらーおっと」

おおいさんが帰った後、カウンターには小銭と変な針金細工が3つ置かれてて、まじ意味不明。

次の日、店長にその話したら、店長めっちゃマジ顔で言うてきて。

――「なんてことを。
おおいさん、何か置いてった？」

預かり品ってことで針金細工見せたら、「次来たとき返して」って言われて、バックヤードの目立つとこに置いといた。

そんで次の日の夜勤。

控室から後輩が涙目で出てきて、「どしたん？」て聞いたら、

「針金細工、うねうね動いてるんですけど……」って。

は？無理すぎて草も生えんって思って見に行ったら、3つの針金細工がミミズみたいに拾得物の箱から移動してて、まじでビビった。

その現象、何日か続いたんよ。
しかも夜だけ動くっていうホラー展開。
夜勤の他の先輩も見て、みんな気持ち悪がってた。

ほんで何日か経ってから、針金細工の1本だけ動き弱なって、ピクピク痙攣みたいになっててさ。

次の日、近くの交差点で交通事故あって、中学生が1人亡くなったってニュース流れてきた。
泣いた。

運転手は「対向車線のバイクの前に誰か立ったから、バイクが急ブレーキ踏んでこっちに突っ込んできた」って証言してて、まじかよってなった。

さらに翌日。

先輩と店長が夜勤の日、おおいさんまた来たらしくて。

そのタイミングで針金細工返すことになって、先輩がバックヤードに取りに行ったんやけど、防犯カメラ見たら、やばすぎる映像やったらしい。

レジ前に首のない少年の遺体が横たわってて、なんか探すみたいに手で床なでてて、おおいさんの手には少年の首らしきものがぶら下がってたって。

でもレジ前戻ったら、その少年の遺体は消えてて、ほんまにホラー。

うちの知り合いが他のコンビニや深夜のレンタルビデオ店でバイトしてるけど、「おおいさん」知ってる人おらんかった。

全国のどっかのコンビニにも、似たような話あるんかもな〜って感じ。

これ、まじでヤバい話やったってやつ。