仕事・学校の話:「おおいさん」の奇妙な夜──コンビニに現れた恐怖と不思議の残像

「おおいさん」の奇妙な夜──コンビニに現れた恐怖と不思議の残像

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■【起】〜コンビニに忍び寄る不穏な噂〜
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俺のバイト先のコンビニには、謎めいた噂があった。
その名は「おおいさん」。
誰なのか、何者なのかは誰も知らない。
ただ、「おおいさんが来たら目を合わせるな」と、先輩たちは口を揃えて忠告する。

けれど、バイトを始めたばかりの俺は、仕事を覚えるのに必死で、その言葉もすぐ頭の隅に追いやってしまっていた。

■【承】〜日常の中に忍び寄る異変〜
───────

3ヶ月が経ち、新人の後輩が入った。
人数が増えて仕事は楽になったが、夜勤で後輩と二人きりになることも増えた。
ある夜、俺たちはバックヤードで廃棄予定の弁当を食べていた。
店内の防犯カメラには、雑誌コーナーで立ち読みする中学生くらいの子供たち3人。
そして、その様子を万引き防止のため警戒する後輩の姿。

弁当を食べ終えた俺も、カメラで店内の様子をチェックしていると、後輩がレジ前で誰もいないのにペコペコとお辞儀をしている。
奇妙に思っていると、後輩が控室の店員呼び出しボタンを押し、ブザーが鳴った。

「万引きか」と思い急いで店内へ出ると、レジの前には見知らぬ中年男性が立っていた。

「いらっしゃいませー」と声をかけると、その男は「こんにちはー、おおいさんです」と名乗る。

後輩が耳元でささやく。
「出ましたね。
おおいさん。
店長が言ってた人ですよ。
目を合わせるなって」

先輩の言葉が急に蘇る。
おおいさんは、無邪気で奇妙な声音で商品を頼み、やがて冗談めかして「どっちかのいのちちょーうだーい」と不気味なことを言い出した。

俺たちはあくまで丁寧に対応し、やり過ごすしかなかった。
会計を終えておおいさんが去った後、カウンターには小銭と、奇妙な針金細工が3つ残されていた。

■【転】〜動き出す針金細工と現実を侵す恐怖〜
───────

翌日、店長に針金細工のことを伝えると、真剣な顔で「おおいさん、何か置いてった?」と尋ねられた。
針金細工は預かり品としてバックヤードに置かれ、「次回来店時に返すように」と指示される。

だが、その夜から異変が起きる。
後輩が涙目で控室から出てきて「針金細工が動いている」と訴える。
見に行くと、本当に3つの針金細工が、ミミズのように箱の中を這い回っていた。
その現象は数日間、しかも夜だけ続き、夜勤の先輩たちも目撃しては気味悪がった。

やがて針金細工のひとつが動きが弱まり、痙攣を始める。
その翌日、近所の交差点で中学生が交通事故で死亡するというニュースが流れる。
運転手の証言は不可解だった。
「道路に誰かが立っていて、バイクが急ブレーキをかけて事故になった」と。

さらに次の日、店長と先輩が夜勤の日、おおいさんが再び来店。
針金細工を返すためバックヤードに向かった先輩が、防犯カメラ越しに戦慄の光景を見る。
レジ前には首のない少年の遺体が横たわり、手で床を探るように動いている。
そしておおいさんは少年の首らしきものを手にぶら下げていたという。

しかし店内に戻ると、そこには何も残っていなかった。

■【結】〜消えぬ謎と静かな恐怖の余韻〜
───────

その後、他のコンビニや深夜のレンタルビデオ店でバイトしている友人たちにも「おおいさん」のことを聞いたが、誰も知らなかった。

けれど、もしかしたら──どこかのコンビニでも、誰かが今夜、同じような不思議と恐怖に出会っているのかもしれない。
読了
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