怖い話:明日へ続く鳥居の下で

明日へ続く鳥居の下で

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○主人公・アパートの一室(夜)

(薄暗い部屋。
主人公・和也(35・やつれた表情)、一人で座っている)

N:俺、先週離婚した。

(和也、写真立てを手に取る。
元妻と子供の写真)

N:生活力が無いって、子供まで向こうに取られて…何も残らなかった。

(写真立てを伏せる)

(間)

和也:(心の声)もう、どうでもいいや…適当に、終わらせてもいいか…。

(ゆっくり立ち上がり、コートを羽織る)

○夜の街・歩道(夜)

(和也、トボトボと歩きながら、足元を見つめている)

SE:街灯の下、虫の羽音

N:死のうかと考えながら、いつもと変わらない道を歩いていた。

(和也、ふと顔を上げる)

(カメラ、和也の視線の先、暗がりに古びた鳥居)

和也:(小さく)…あれ?こんな所に、神社なんて…。

(戸惑いながら鳥居をくぐる)

○神社・境内(夜)

(境内は思いのほか広い。
木々の間から月明かり。
人気はない)

和也:(周囲を見回しながら)(心の声)この辺りなら、誰にも迷惑かけないか…。

(一本の古い木を見上げる)

和也:(心の声)…あの枝、使えるかな。

(その時、背後から足音)

SE:小走りの足音

(和也、驚いて振り返ると、巫女姿の少女・美咲(20・儚げで芯の強い瞳)が現れる)

美咲:(涙を浮かべて)(叫ぶように)ばかっ!

(和也、呆然とする)

(美咲、和也の肩を叩く)

美咲:(声を震わせて)…何やってるのよ!死ぬくらいなら、何でもできるでしょ!

(和也、何も言えず立ち尽くす)

(美咲、涙を拭きながら境内の奥へ駆けていく)

SE:足音が遠ざかる

(間)

和也:(その場に崩れ落ちる)(声を詰まらせて)

(涙がぽろぽろとこぼれる)

○神社・社務所(夜)

(和也、静かに泣いている。
そこへ神主・宮本(60・温厚そう)が現れる)

宮本:(優しく)どうかされましたか?

(和也、何度も深呼吸しながら顔を上げる)

和也:(震えた声で)…あの、巫女さんが…俺を叱ってくれて…。

宮本:(首を傾げる)巫女…?うちには、今、巫女はおりませんが。

(和也、驚きつつもどこか納得したように小さく頷く)

和也:(目を伏せて)(声を絞り出す)…たぶん、神様だったんですね。

(宮本、静かに微笑む)

宮本:…きっと、あなたの思いが、誰かに届いたのでしょう。

○神社・境内(夜)

(和也、鳥居の前で振り返る)

(夜空には月が輝いている)

N:巫女さんに言われた通り…明日から、諦めていた夢を追いかけてみようと思う。

(和也、深く頭を下げる)

和也:(心の声)神様、巫女さん、神主さん、そして…元嫁と子供にも。

(穏やかに微笑む)

和也:(小さく)俺、頑張ってみるよ。

(カメラ、ゆっくり空へパン)

(BGM:静かに希望のある曲が流れ始める)

(フェードアウト)
読了
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