巫女さんにお礼を言いたくて神主さんに尋ねたとき、「この神社に巫女はいませんよ」と言われた。
その瞬間、全てが不思議につながった気がした。
実は、その直前まで俺は、生きる気力を取り戻していた。
神主さんが家に入れて話を聞いてくれて、少しずつ心が落ち着き、涙を流しながら、自分の気持ちを見つめ直していたのだ。
だが、そこに至るまで、俺はどん底にいた。
神社の境内で泣いていたとき、突然現れた巫女さんが俺を叩き、「死ぬくらいなら何でもできるでしょ!」と泣きながら怒鳴って、建物の中へ走り去った。
その言葉に俺の心は揺さぶられ、涙が止まらなくなった。
時を遡ろう。
あの日、俺はすべてを失っていた。
離婚して、生活力のなさから子供も向こうに取られ、何も残らない自分に絶望していた。
死ぬことすら適当に考えながら、気づけば見慣れたはずの道で、初めて気付く神社の前に立っていた。
そこで、首を吊ることまで考えていたのだ。
だが、思えば、あの巫女さんの涙と叫びが、俺を現実に引き戻してくれたのかもしれない。
神社に巫女はいなかった――きっと、神様が俺を叱ってくれたのだろう。
明日からは、子供の頃に諦めた夢を追いかけてみようと思う。
今は感謝しかない。
神様、巫女さん、神主さん、そして元嫁と子供にも。
俺、頑張ってみるよ。
怖い話:「巫女はいなかった――涙の理由に辿り着くまで」
「巫女はいなかった――涙の理由に辿り着くまで」
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