怖い話:玄関の窓から女が顔を出していた――逆順で語る恐怖の一晩

玄関の窓から女が顔を出していた――逆順で語る恐怖の一晩

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「両目を閉じて顔を左右に振る女が、空家の窓からこちらを見ていた。


俺が腰を抜かして動けなくなったのは、その瞬間だった。
声も出せず、犬を抱えたまま、ただその異様な光景を見つめるしかなかった。
結局、どうやっておばちゃん家に戻ったのかは覚えていない。
ただ、空家の女のことを半泣きで話した途端、おばちゃんの表情がみるみる険しくなり、俺は何も分からないままバリカンで丸坊主にされた。
その後、見知らぬおっちゃんがやってきて、俺の前で聞き慣れない呪文のような言葉を唱え始めた。
親も呼び出され、家中が騒然となった。

なぜそんなことになったのか。
それは、迷子になりかけていた俺が、柴犬を引きずりながら空家の草むらに入り込んだせいだった。
夕暮れが近づき、犬は急に動かなくなった。
仕方なく抱きかかえたものの、異様に重たく、俺は草むらで昆虫を探しながら、どんどん辺りが暗くなるのも気づかずにいた。
ふと顔を上げると、ほとんどの窓に雨戸が閉まり、ただ玄関の向こう側の窓だけが少し開いていた。
そこから、あの女が顔を出していたのだ。

時計の針をさらに巻き戻そう。
俺が預けられたのは、小学校低学年のある日の夜。
両親の急な用事で、知り合いのおばちゃん家に一晩泊まることになった。
そこの家には柴犬がいて、俺は散歩に連れて出たのだが、土地勘のない場所でやたら歩き回ったせいで迷子になった。
シャイな性格で誰にも助けを求められず、犬も頼りにならないまま、気がつけば辺りは夕闇に包まれていた。

あの晩以来、おばちゃん家には一度も行っていない。
結局、柴犬も家に戻ることはなかった。
思い出すたびに今でも背筋がぞくりとする。
なぜ、あの女は両目を閉じたまま、あんな動きをしていたのか。
おばちゃんとおっちゃんは、俺に何をしたのか。
すべては未だに謎のまま――だが、確かにあの夜、俺は「何か」に遭遇してしまったのだ。
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