初恋の終わり

初恋の彼が亡くなった。

彼は私の初彼で、若さに任せてワガママばかりだったあの頃が悔やまれる。

ある日、彼から「別れて欲しい」と告げられ、意地を張って「いいよ」と答えてしまった。

半年後、彼から電話が来た時も、強がって「彼氏ができて幸せ」と伝えた。

本当は嘘。
彼氏なんていなかった。

それから一年経ち、彼の友人から連絡が。

彼は肝臓癌で亡くなっていた。
一年前に。

一周忌を迎えるにあたり、私に知らせるよう彼が遺言を残していたそうだ。

彼からの遺書には、

―こんな別れ方しかできなくてごめん。
幸せになって欲しい。
愛してる―

と書かれていた。

どうして一人で全てを抱え込んで逝ったのか。

どうして一緒に病気と闘わせてくれなかったのか。

どうして真実を私に言わなかったのか。

彼に問いかけたいことが溢れた。
責めたかった。

あれから二年が経ち、ようやく心が落ち着いてきた。

彼の優しさが理解できるようになった。

でも、まだ感情が追いつかない。

きっと一生彼を忘れないし、問いかけ続けるだろう。

もう一度だけでいい、会って優しくしたい。
愛してるって言いたい。