■【起】〜幼き恋とすれ違いの始まり〜
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彼は私の初めての恋人だった。
若さに任せてワガママばかりを言い合った、あの頃。
今思えば、素直になれなかった自分が悔やまれる。
ある日、突然彼から「別れてほしい」と告げられた。
動揺しながらも、私は強がって「いいよ」と答えてしまった。
本当は別れたくなかったのに、意地を張ることしかできなかった。
それからしばらくして、彼から電話があった。
私はまたもや強がって、「今は彼氏ができて幸せ」と嘘をついた。
本当は、誰とも付き合っていなかったのに。
■【承】〜届かなかった想いと時の流れ〜
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あの日から一年が過ぎ、私の中で彼への想いが消えることはなかった。
そんなある日、彼の友人から突然連絡が入った。
彼は、肝臓癌で亡くなっていたという。
知らせを受けた瞬間、時間が止まったように感じた。
彼が亡くなったのはちょうど一年前。
彼は、一周忌を迎えるにあたり、私に必ず知らせてほしいと遺言を残していたという。
私はその場で涙をこらえきれなかった。
ただ、彼が最後まで私を想ってくれていたことだけが胸に残った。
■【転】〜遺された言葉と溢れ出す問い〜
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彼からの遺書が手元に届いた。
そこには、「こんな別れ方しかできなくてごめん。
幸せになって欲しい。
愛してる」と、優しい言葉が綴られていた。
どうして一人で全てを抱え込んでしまったの? どうして一緒に病気と闘わせてくれなかったの? どうして本当のことを話してくれなかったの? ――胸の中に問いかけが溢れて、涙が止まらなかった。
責めたい気持ちと、後悔と、どうしようもない寂しさが交錯した。
ただ、もう彼に伝えることはできない。
■【結】〜優しさの意味と、終わらない想い〜
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あれから二年が経ち、少しずつ心が落ち着いてきた。
彼の優しさや、私を想って遺した言葉の意味がようやく理解できるようになった気がする。
それでも、まだ感情が追いつかない。
きっと一生、彼を忘れることはなく、問いかけ続けるのだろう。
もう一度だけでいい、彼に会って優しくしたい。
「愛してる」と伝えたい。
その思いを胸に、私はこれからも歩んでいく。
恋愛の話:初恋の行方と、時を越えて届いた愛の手紙
初恋の行方と、時を越えて届いた愛の手紙
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