■【起】〜理想の出産イメージと静かなはじまり〜
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出産のためのイメージトレーニングでは、私は呼吸を整え、冷静にいきみを逃す自分を思い描いていた。
静かで穏やかな出産。
そんな理想を胸に、病院へと向かった。
その日、病院は休みで、他に患者は二人だけ。
静まり返った院内に、緊張感と不安がじわじわと広がっていく。
■【承】〜現実は叫びと混乱の連続〜
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しかし、現実は想像とはまるで違っていた。
陣痛の波が押し寄せるたび、私の口からは思わず大声が漏れる。
「痛い!痛い!痛ーい!!フゥー!フゥウ――ゥ!!!!」
義父に「病院の玄関まで聞こえてる」と言われても、病院が休みなら気にしない。
私の叫び声は静寂を突き抜け、院内に響き渡る。
徐々に痛みは激しくなり、眠れぬ夜と絶叫のせいで、私はどこかハイな気分になっていった。
■【転】〜テンション最高潮、言動もカオスに〜
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陣痛のピーク直前、私はもはや自分でも何を言っているのかわからなかった。
「イヤッホー!陣痛きたーアハァハハ八!!ゴッリッラッ!ゴッリッラッ!」
と叫び、手に持っていた黄緑のテニスボールを助産師さんに見せては、
「こっ…これガチャピンの先っちょ!指の先っちょ!!」
とナゾの言葉を連発。
助産師さんに
「助産師さんキラキラしてますぅ!だから早く子宮口拡げてぇえぇぇ!」
と泣きつく始末。
助産師さんは忙しいのに、私は迷惑をかけてばかり。
そして、出産の瞬間が迫ると、
「無理無理!もう出る!出てるよぉ!」
と繰り返し叫び、最初から最後まで寄り添ってくれた旦那に向かって
「愛してる!!愛してるから二人目はあなたが産んでえぇえぇぇ!」
と涙ながらに訴えた。
■【結】〜新しい命の愛しさと静かな余韻〜
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嵐のような一夜が明け、ついに赤ちゃんがこの世に誕生した。
腕の中の小さな命を見つめ、「赤ちゃん、可愛い。
」その一言に、これまでの痛みも叫びもすべてが報われるような気がした。
混乱と笑いに包まれた出産劇場は、静かな幸福の余韻で幕を閉じた。
笑える話:静寂を破る絶叫と笑い、そして新しい命―出産劇場の起承転結
静寂を破る絶叫と笑い、そして新しい命―出産劇場の起承転結
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