■【起】〜深夜のバイブ音と見知らぬ番号〜
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これは私の弟に実際に起こった、ちょっと奇妙で恐ろしい出来事です。
私たち兄弟は年が近く、実家の狭い部屋を一緒に使っていました。
喧嘩ばかりしていましたが、いざという時は助け合う、そんな絆があったと信じています。
ある日の深夜、弟が学生生活を満喫した帰りで、酔っ払って遅くに帰宅しました。
私は眠っていたのですが、弟の携帯が「ヴーン…ヴーン…」としつこく振動し、その音で目を覚ましました。
自分の携帯ではありません。
弟は眠りこけていて、出る気配もありません。
「おい、電話鳴ってるぞ!うるさいから早く出ろ!」と起こすと、弟は携帯の画面を見て驚愕します。
「え?136?何これ。
」
見知らぬ番号「136」からの着信。
弟は戸惑いながらも電話に出ました。
そのやりとりは、私たちの予想を遥かに超えるものだったのです。
■【承】〜謎の住所と廃墟での発見〜
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電話の内容は奇妙でした。
「亡くなっている人の住所を教えるので、そこへ行ってくれ」と言われたというのです。
警察でもないのにそんなことを頼まれるなんて、到底信じられません。
翌朝、弟の机にはメモが残されていました。
現実だったようです。
調べてみると、「136」は本来、電話履歴のサービスであり、番号から直接着信があるはずはありません。
メモされた住所を検索すると、それは人里離れた場所でした。
弟は「そんな遠い場所じゃないし、友達と行ってみるわ」と言い出し、実際に友人たちと現地へ向かいました。
夕方、弟から突然の連絡。
「兄ちゃん、ヤバい事になった。
今警察にいる。
」事情を聞くと、メモの住所にあった廃墟で人骨を発見し、警察に通報したため事情聴取を受けているとのこと。
私は急いで警察署に向かいました。
警察には「心霊スポット巡りをしていたら偶然見つけた」と説明し、無事に帰宅できました。
しかし、これをきっかけに本当の恐怖が始まるとは、この時は思いもしませんでした。
■【転】〜女の影と終わらない苦しみ〜
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廃墟の事件を境に、弟は異変をきたします。
最初は「今、テレビに変なの映らなかった?」という程度だったのが、次第に「女の人の影が見える」と訴えるようになり、日常生活にも支障をきたすほど悪化していきました。
親に相談しても相手にされず、私は神社でお祓いを受けたり、お守りを持たせたり、あらゆる手を尽くしました。
しかし、弟はさらに怯え、家の中でも女の影を恐れて外出も拒み始めました。
ついに両親も異常事態を認め、知人の霊能者を呼んで除霊を依頼します。
女性3人の霊能力者が長時間にわたりお経を上げましたが、「除霊は終わったが失敗した。
霊が強い念を訴えており、何を望んでいるのか分からない。
要望を成就すれば成仏するはず」と告げられます。
絶望感に襲われましたが、私は最後の手段として警察署に赴き、廃墟の遺体について食い下がって情報を得ました。
それは、若い女性の自殺遺体で、廃墟の関係者も全員亡くなっており、身元も謎のまま。
どうしても諦めきれず、私は花と線香を持って廃墟へ向かいました。
現地で線香を焚き、花を手向け、「どうか成仏してください」と心から祈りました。
その時、どこからか「ありがとう」という女性の声が聞こえてきたのです。
恐怖で声も出ず、私は全速力で廃墟を逃げ出しました。
■【結】〜癒やされた心と残された余韻〜
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その瞬間を境に、弟の様子はみるみる回復していきました。
女の影は二度と現れず、以前のように元気な弟に戻りました。
私は思います。
廃墟の遺体は、ただ誰かに発見され、供養してほしかったのでしょう。
寂しく苦しい思いを抱え、助けを求めた先に偶然弟が選ばれたのかもしれません。
弟に心当たりがないか聞くと、「ゼミの研究でその地域に行ったことがある」くらいだそうです。
謎は残ったままですが、今は平穏な日々が戻り、私はこの出来事がただの恐怖譚ではなく、誰かの魂を救う物語だったのかもしれないと感じています。
怖い話:弟に届いた謎の電話と廃墟で始まる恐怖、そして救済の夜
弟に届いた謎の電話と廃墟で始まる恐怖、そして救済の夜
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