○デパート・婦人服売り場(午後)
SE:ざわめく人々、エスカレーターの音
N:中学時代、あの日の午後。
母と一緒に買い物に来たデパートで、僕は迷子になってしまった。
○同・トイレ付近(続き)
SE:足音、遠くで子どもの声
主人公・ユウタ(14・中学生、素直そうな雰囲気)
(きょろきょろと周囲を見渡し、不安げに歩く)
ユウタ:(心の声)どこだろ…お母さん、どこ行っちゃったんだろう。
(うつむきながら)
(そこへ、スーツ姿の男が近づく)
男(26・落ち着いた風貌)
(優しげな笑みを浮かべて、ユウタに声をかける)
男:「ねえ、君…ちょっといいかな?」
ユウタ:(驚いた様子で振り向く)「え?…はい。
」
男:(やや声を潜めて)「○○って雑誌の取材なんだけど、少しだけ時間ある?」
ユウタ:(目を輝かせて)(心の声)取材ってことは…謝礼とか?やった、ラッキーかも。
(期待を込めて頷く)
ユウタ:「あ、はい!大丈夫です。
」
○同・トイレ前(少し移動)
SE:人通りが途切れる
男:(周囲を見回し、声を潜めて)「少年の性についての取材なんだけど…人前じゃちょっと話せないから、個室で話そうか。
」
ユウタ:(全く疑わずに)「あ、はい…」
(男、ユウタをトイレ内の個室へ誘導する)
○同・トイレ個室(しばらくして)
SE:個室のドアが閉まる音
男:(ノートを開くふり)(さりげなく距離を詰める)
男:「友達とどんなエロ話するの?」
ユウタ:(戸惑いながらも、質問に答えようとする)「え、えっと…たまに…そういう話も…」
(男、唐突にユウタに手を伸ばす)
ユウタ:(凍りつく)(心の声)え…?なに…?(息を詰めて動けなくなる)
男:「こうされても、勃たないの?」
ユウタ:(必死に耐えて)「あ、あの…僕、こういうの慣れてるんで…」
(自分でも訳が分からず、とっさに言い訳をする)
N:(淡々と)その時の僕は、何も疑わずに、ただ必死で耐えていた。
(しばらく沈黙)
○同・トイレ個室(間)
(男、急に興味を失ったように身を引く)
男:「…もういいや。
取材、終わりね。
」
ユウタ:(困惑したまま、男を見つめる)
男:(さっと個室を出ていく)
SE:ドアが開いて閉まる音
(ユウタ、しばらく呆然と座ったまま)
ユウタ:(心の声)え…謝礼は…?図書券とか、もらえるんじゃなかったの…?
○同・廊下(少し後)
ユウタ(14)(ぼんやりと歩きながら、表情はショックに満ちている)
SE:遠くで母親の呼ぶ声
N:今思えば、あれは「取材」なんかじゃなかった。
ほんのり、怖さだけが残った。
(BGM:切ない曲調に変わる)
(画面暗転)
怖い話:迷子になった午後、あの日のデパートで
迷子になった午後、あの日のデパートで
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