図書券ももらえず、男は何事もなかったかのように去っていった。
ショックとともに、あれが本当に取材だったのか、今になってほんのり怖くなる。
その直前、俺はトイレの個室で「こういうの慣れてるんで」と、わけのわからない強がりを言っていた。
必死に耐えていたのは、男が俺のちんこを揉み始めたからだ。
「勃ったら負けだ」と、自分でも何に勝とうとしていたのかわからない。
話はさらに少し前へ遡る。
20代半ばくらいの男が「○○って雑誌の取材なんだけど、ちょっと時間ある?」と声をかけてきた。
俺は「取材=謝礼もらえる=ヤター\(^o^)/」と即座に単純計算。
疑いもせずついていった。
すべての始まりは、中学の頃、母とデパートに買い物に来て迷子になったことだった。
適当にうろついていた俺に、あの男が近づいてきたのだ。
今となっては、「あれは取材なんかじゃなかった」としか思えない。
あの日、謝礼を信じてついて行った自分のバカさと、何よりも世の中の“取材”という言葉に隠された危うさを、忘れられずにいる。
怖い話:「謝礼はなかった――“取材”の真相に気づいた日」
「謝礼はなかった――“取材”の真相に気づいた日」
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