中学時代、東京都内のデパートで買い物中の男子生徒(当時13歳)が、見知らぬ男性から「雑誌の取材」と称して声をかけられ、トイレの個室で不適切な行為を受けていたことが当人への取材で分かった。
事件は十数年前の出来事だが、現在も類似の手口による被害が後を絶たないという。
■デパートでの「取材」名目の誘い
男子生徒は母親と買い物中、デパート内で迷子になった際、トイレ付近で20代半ばとみられる男性に「○○という雑誌の取材なのだが、少し時間があるか」と声をかけられた。
男子生徒によると、「取材=謝礼がもらえる」と思い込み、警戒心を持たずに男性の誘いに応じてしまったという。
■トイレの個室での不適切な行為
その後、男性は「少年の性について取材しているが、人前では話しにくいのでトイレの個室で話そう」と提案。
男子生徒は疑うことなく個室に入った。
初めは「友人とどんな話をするか」などの質問が続いたが、突然、男性が男子生徒の下半身に触れる行為に及んだ。
「その時は、状況を理解できず、ただ耐えることしかできなかった」と男子生徒は振り返る。
男性は「こうされても反応しないのか」と尋ね、男子生徒は「こういうことに慣れている」と答えてしまったという。
■「謝礼」もなく立ち去った加害者
男子生徒によれば、男性は一定時間が経過した後、突然「取材を終わりにする」と告げ、謝礼も渡さず立ち去った。
男子生徒は「図書券がもらえると信じていたので、ショックだった」と当時の心境を明かす。
■被害の背景と専門家の見解
警察庁の調査(2023年度)によると、未成年を対象とした性的被害のうち、加害者が「取材」「モデル募集」など社会的に通用しやすい名目で接近したケースは全体の約15%を占めるという(警察庁「児童被害実態調査」)。
専門家は「未成年は大人の申し出を疑いにくく、謝礼や賞品など具体的なメリットを提示されると、警戒心が薄れる傾向にある」と指摘する。
■今後の課題と社会的対応
被害者は「今思えば、あれは取材ではなかったと気付いた。
大人を簡単に信用してしまった自分の未熟さも反省している」と語る。
児童心理の専門家である田中明子氏(仮名)は「子どもが被害を未然に防ぐには、自分が納得できない状況や、知らない人からの不自然な誘いにはきっぱり断る勇気を持つことが重要だ」と提言する。
近年、SNSや街頭での声掛けによる類似被害が増加傾向にあり、各自治体や学校では防犯教育の強化が求められている。
読者の皆さんも、身近な子どもたちが不審な誘いに巻き込まれないよう、日頃から注意を促すことが大切だ。
(取材・構成:編集部)
怖い話:中学生がデパートで不審な「雑誌取材」被害 謝礼名目で個室誘導、性的被害の実態
中学生がデパートで不審な「雑誌取材」被害 謝礼名目で個室誘導、性的被害の実態
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