怖い話:「取材」の顔をした悪意──少年時代のほんのり怖い記憶

「取材」の顔をした悪意──少年時代のほんのり怖い記憶

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■【起】〜デパートの迷子、日常のほころび〜
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中学生の頃、母と一緒にデパートへ買い物に出かけた。
広い店内でふと母とはぐれてしまい、心細さを紛らわすため、適当に館内をうろついていた。

トイレ近くまで来たとき、見知らぬ20代中盤くらいの男が声をかけてきた。
「○○って雑誌の取材なんだけど、ちょっと時間ある?」と、親しげに話しかけてきたのだ。

■【承】〜誘いの言葉と期待感〜
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「取材=謝礼がもらえる」と、子どもながらに都合よく解釈した僕は、安易にその男についていくことにした。
どこかワクワクした気持ちで、「図書券でももらえるかも」と淡い期待を抱いていた。

男は「少年の性についての取材だけど、人前では話しにくいからトイレの個室で」と言い、僕は疑うことなくその提案を受け入れてしまった。

■【転】〜取材の仮面が剥がれる瞬間〜
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個室に入ると、最初は「友達とどんなエロ話をするの?」といった質問から始まった。
だが、次第に男の手が僕の体に伸びてきて、突然ちんこを揉まれる事態に。

「勃ったら負けだ」と必死に耐えていたが、「こうされても勃たないの?」と男に問われ、動揺しつつも「こういうの慣れてるんで」と訳のわからない返答をしてしまった自分が、今思えば情けなくてたまらない。
中学生がこんなことに慣れているはずもないのに。

■【結】〜置き去りにされた心と、残る違和感〜
───────

結局、僕はまったく反応しなかったせいか、男は急に興味を失ったように「じゃあ取材は終わり」と言い残して立ち去ってしまった。
期待していた謝礼ももらえず、呆然とその場に取り残された。

今思い返すと、あれは「取材」なんかじゃなかったのだと、背筋がゾッとする。
ほんのりとした恐怖と、自分の無防備さが心に残る、忘れられない出来事だ。
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