仕事・学校の話:冬休みに体験した精肉工場での出来事と思い出

冬休みに体験した精肉工場での出来事と思い出

🤝 親切 に変換して表示中
私が学生だった頃の冬休み、精肉工場でアルバイトをした経験がありました。

その工場は、コンビニで販売されている肉まん用のひき肉を大量に生産しており、連休中は人手が足りなくなるため、学生アルバイトをたくさん雇って補充していたのです。

私はその頃、バイクを買いたいという目標があったので、できるだけたくさんシフトに入ってしっかり稼ごうと頑張っていました。

工場での作業は、基本的に決められたことを繰り返す流れ作業でした。
アルバイトもそれぞれのポジションがきちんと割り当てられていたので、皆が自分の役割を黙々とこなしていたのです。

そんな中で、一人、少し雰囲気が異なる学生がいました。
彼は、いかにもいじめられっ子のような印象で、他のバイトとは違う学校から来ていたようです。
名札には「内田」と書かれていたので、その名前を覚えていました。

内田さんは予想通り、同期のバイトともほとんど話すことはなく、黙々と作業を続けて、終わるとすぐに帰るタイプでした。

バイト仲間の間では、「あの人は暗い」「真面目だけれど仕事が遅い」「そのうち何か問題を起こすかもしれない」といった噂話がされていました。

そして、ある日、その出来事が起こりました。

突然、「内田」さんが姿を見せなくなったのです。

その後、社員の方がバイト全員を集めて呼び出しました。

何があったのだろうとみんながざわつく中で、社員の方が深刻な表情で話し始めました。

―本来、アルバイトの皆さんにお伝えするべき内容ではないのですが、取引先から苦情が来てしまいました。

そう言って、少し間をおいてから、さらに驚くべきことを口にしました。

―どうやら、私たちが出荷した挽肉の中に、猫の死骸が混入していたそうです。

その瞬間、私はなぜか「内田」さんの顔が頭に浮かびました。

きっとアイツだ――あれは「内田」さんがやったに違いない、と私は思い込んでしまいました。

―そんなことがあり得るのかと思って、昨晩機械を調べたのですが、実際に動物の体毛や、本来入っているはずのない肉が確認されたのです。

社員の方は私たち全員を見回し、反応をうかがっているようでした。
私はもちろん何も関与していませんが、平静を装うので精一杯でした。

―あなた達が関わっていないことは分かっています。
この件は社員に任せてください。

そう言われて、その場の緊張が少し和らいだのを感じました。
みんなもほっとしていたようです。

―誰かに何か聞かれても、「分かりません」とだけ答えてください。

幸い、その後特に大きな騒ぎになることはなく、この件について周囲から何か聞かれることもありませんでした。

冬休みのバイト期間が無事に終わり、私はしっかり給料ももらうことができました。

しかし、今思い出してもぞっとするのは、その後「訳アリの肉」がどうなったのか、そして「内田」さんがどうなったのか、当時のバイト仲間に後から聞いても、誰一人として知る人はいなかった、ということなのです。
読了
スワイプして関連記事へ
0%
ホーム
更新順
ランダム
変換
音読
リスト
保存
続きを読む

コメント

まだコメントがありません。最初のコメントを投稿してみませんか?

記事要約(300文字)

ダミー1にテキストを変換しています...

0%
変換中