○小学校・校門前(夕方)
N:僕が小学生だった頃、町には少し風変わりなおっさんがいた。
(カメラ、ゆっくり町を徘徊するおっさんにズームイン)
SE:遠くで子どもたちの笑い声
○回想・自宅リビング(夜)
母(40代・おっとりした口調):
「変な人だから、あんまり近づいちゃダメよ」
父(40代・無口なタイプ):
「そうだな、関わらない方がいい」
(少年・タケシ、10歳・素直そうな顔立ちがうなずく)
N:誰もが“あのおっさんには近づくな”と言っていた。
○サッカークラブ・グラウンド(夕暮れ)
(タケシ、仲間とサッカーをしている)
SE:ボールを蹴る音
(タケシ、激しくぶつかり合い転倒)
タケシ:(うめき声)(痛みに顔をしかめる)
コーチ(30代・熱血):
「大丈夫か、タケシ!?」
タケシ:(首を押さえて苦悶の表情)
○病院・診察室(夜)
医者(50代・眼鏡):
「鎖骨が折れてるね。
しばらく安静だ」
(タケシ、ショックを受けて下を向く)
○小学校・校門前(翌日・朝)
(タケシ、首にコルセットをはめて登校)
N:そのとき、校門の向こうで“あのおっさん”がじっと僕を見ていた。
(おっさん(60代・無精ひげ、よれた上着)、無言でタケシを見つめる)
○教室・昼休み
(タケシ、窓の外をふと見る)
(おっさんが校庭の隅に立っている)
タケシ:(不安そうに、友人に耳打ち)
タケシ:
「なあ、あのおっさん…あそこに…」
友人(10歳・元気):
「うわ、またいるよ…ヤバくね?」
○下校道(夕方)
(タケシと友人、並んで歩く。
おっさんが道端に立って待っている)
SE:遠くでカラスの鳴き声
(おっさん、ゆっくりとタケシに近づく)
タケシ:(息を飲む)
おっさん:(小さな声で)
「…ちょっと、いいか」
(間)
(おっさん、そっとタケシの首に手を当てる)
SE:静寂
(おっさんの額に玉の汗)
友人:(固まる)
(数分の間、沈黙が流れる)
(おっさん、ふっと手を離す)
タケシ:(怖くなり、友人と顔を見合わせて)
タケシ:
「い、行こう!」
(タケシ、駆け足で家路につく)
○自宅・玄関(夕方)
(タケシ、息を切らせて帰宅)
母:
「どうしたの、そんなに慌てて」
タケシ:(ハッと首を触る)
タケシ:
「…あれ?」
(驚いた表情で自分の首を動かす)
タケシ:
「…全然、痛くない…?」
N:それから数日後。
○病院・診察室(数日後)
医者:
(レントゲン写真を見て驚愕)
「…え?骨折の跡が…どこにもない…」
タケシ:(信じられず目を見開く)
○自宅・リビング(夜)
タケシ:
「ねえ、すごいよ。
もう治ってるって!」
母:
「そんなわけ…でも、ほんとに?」
父:
(困惑気味に)
「不思議なこともあるもんだな…」
N:僕は、おっさんのおかげだと思った。
でも、家族は信じなかった。
○町角(夕方)
(タケシ、決意した表情でおっさんを探す)
N:お礼を言いたくて、町中を探したけれど——
(おっさんの姿はどこにもない)
○公園・ベンチ(黄昏時)
N:今思えば、子どもには優しかった、あのおっさん。
(タケシ、遠くを見つめて)
タケシ:(心の声)
「元気でいてくれたらいいな…」
(BGM:静かに切ない曲調に変わる)
(カメラ、空を仰ぐタケシの後ろ姿をゆっくり引き)
(フェードアウト)
不思議な話:あの日、町角ですれ違った奇跡 〜小さな町の“おっさん”と僕〜
あの日、町角ですれ違った奇跡 〜小さな町の“おっさん”と僕〜
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