先輩と後輩、春の灯──君に伝えたいこの想い

○オフィス・会議室（昼）

N：社会人3年目の春、私は初めて新人教育を任された。

登場人物：
明莉（25・落ち着いた雰囲気の女性社員）
悠斗（22・爽やかでハキハキした新入社員）

（明莉、資料を手にして座っている。
悠斗がドアを開けて入ってくる）

SE：ドアが静かに閉まる音

悠斗：（少し緊張した面持ちで）
「今日からご指導、よろしくお願いします！」

明莉：（微笑みながら、けれど少し戸惑って）
「こちらこそ、よろしくね。
」

（間。
二人の間に少しの沈黙。
明莉、書類に目を落とす）（BGM：柔らかなピアノ）

N：最初の出会い。
どう接したらいいのか、私は少し迷っていた。

○居酒屋（夜・数ヶ月後）

（明莉と悠斗、カウンター席に並んで座っている。
グラスが並ぶ）

SE：グラスが軽く触れ合う音

悠斗：（リラックスした様子で）
「明莉さん、いつもありがとうございます。
こうして飲みに来られるなんて、最初は想像できませんでした。
」

明莉：（微笑んで、グラスを傾ける）
「私も。
まさか後輩とここまで仲良くなれるなんて。
」

（間。
二人、ふと目が合う）（目が合う）（慌てて目をそらす悠斗）

SE：店内のざわめきが少し遠くなる

悠斗：（少し間をおいて、意を決したように）
「あの…明莉さんって、彼氏いるんですか？」

明莉：（驚いて、グラスを置く）（苦笑しながら）
「いないよ。
」

（悠斗、グッと前を向いて一歩近づく）

悠斗：（声を震わせて、しかし真剣に）
「それなら…僕にもチャンス、ありますか？　まだ教えてもらうことばかりで情けないですけど……
いつか明莉さんに頼ってもらえる男になりますから、それまで待っていてくれませんか。
」

（長い沈黙。
明莉、胸に手を当てて小さく息をつく）

明莉：（目を伏せて）
「…そんなこと、初めて言われた。
」

（カメラ、ゆっくりズームイン。
二人、見つめ合う）

○オフィス・窓際（翌朝）

（明莉、窓の外を見つめて微笑む）

N：それから数ヶ月。
彼の成長を見るたび、私の心は喜びで満たされていった。

（BGM：切ない曲調に変わる）

明莉：（心の声・静かに）
（早く迎えに来て――そう願いながら、私は今日も彼を見守り続けている）

（フェードアウト）