「トイレ前、運転手の絶望と轟音の理由」

その瞬間、トイレ前に響き渡る轟音と共に、コンビニ中に強烈な悪臭が立ち込めた。
呆然と立ち尽くす運転手、その表情はすべてを悟ったかのようだった。

しかし、ほんの数秒前までは、彼は必死の形相でトイレのドアノブを回していた。
ベルトを外しかけ、今にも限界を迎えそうな様子である。
だが、ドアには「使用中」の無情な表示。
叫び声が廊下に響いた。

少し前、運転手は脂汗を浮かべながら店員に「トイレ、借りッス！！」と叫び、コンビニの奥へと駆け込んでいった。
その姿は、傍目からも切羽詰まっていると一目で分かった。

話はさらに少しさかのぼる。
俺はただ、コンビニで立ち読みをしていただけだった。
平凡な日常のひとコマ、まさかこんな事態に巻き込まれるとは思いもしなかった。
突然、トラックの運転手が駆け込んでくるまでは。

実は、このあと俺はトイレの中にいる友人に「メッチャやばいから今夜はトイレから出ない方がいい」とメールを送り、静かに店を後にした。
トイレ前で繰り広げられた悲劇の真相を知る者は、きっと俺と運転手、そして運悪くトイレにこもっていた友人だけだろう。