修羅場な話:母の決断、父の静寂――揺れる家族の六年間

母の決断、父の静寂――揺れる家族の六年間

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○自宅・リビング(夜)

(家族四人がテーブルを囲んで夕食をとっている。
静かな時間)

SE:食器の音

N:あの日、家族の歯車は音もなく狂い始めた。

(母・美和子(45・専業主婦)、父・誠一(48・冷静な会社員)、息子・直人(17・高校生)、娘・沙耶(14・中学生))

美和子:(ゆっくりと箸を置き、目を伏せて)(静かに)
「…離婚しましょう。


(沈黙。
直人と沙耶、顔を見合わせる。
誠一は何も言わず、淡々と美和子を見る)

誠一:(冷静に)
「いいよ。


(美和子、息を小さく吐く)

美和子:(声を震わせて)
「今すぐは無理だけど…子供たちを連れて出ていくつもり。


直人:(驚いて)(苦笑しながら)
「え、ちょっと待ってよ。
俺たちも?」

沙耶:(不安そうに)
「やだ…行きたくない。


(間。
美和子、何も言わず俯く)

(BGM:切ない曲調)

(画面暗転)

○6年後・自宅・リビング(夕方)

(直人(23・大学生)と沙耶(20・大学生)、リビングで各々の作業をしている。
誠一は新聞を読んでいる)

SE:インターホンの音

(ドアが開き、美和子が入ってくる。
以前よりどこか華やかな表情)

美和子:(明るく、しかしどこか躊躇いながら)
「…まだ出て行けそうにないんだけど、新しい人ができたの。
今度家に連れてくるね。


(沙耶と直人、顔を見合わせて固まる)

誠一:(目を伏せて、無言)

美和子:(続けて、強い口調で)
「家の鍵は返さないから。
沙耶が大学卒業するまで…ちゃんと養育費は払ってね。


直人:(小声で、呆れた笑みを浮かべて)(心の声)
「…ガイジかな。


沙耶:(母を見据えて、静かに)
「私、お父さんのところにいる。


美和子:(苛立ったように)
「うるさい!親権は私にあるの。
いいからお金はちゃんと出して。
新しい人と1部屋しかない部屋に住むんだから、沙耶も連れて行く!」

(間。
直人、沙耶、誠一、それぞれ母を見つめる)

(BGM:静かにフェードアウト)

N:家族のかたちは、いつからこんなに歪んでしまったのか。

N:それでも、誰も本当の答えを口にできなかった。

(全員、しばし沈黙)

SE:遠くで時計の音

(カメラ、ゆっくりズームアウト)
読了
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