○裏道・工事現場付近(深夜)
N:昔、警備会社で夜勤をしていた時の話だ。
(BGM:静寂な夜の環境音)
○工事現場・国道沿い(夜)
N:普段は国道沿いの工事現場。
車と機械の騒音、喧騒に囲まれての仕事だった。
○裏道・工事現場入口(夜)
N:だが、あの日は珍しく裏道の仕事が回ってきた。
○裏道・工事現場(夜)
(細い路地、車の通行止め。
街灯がぽつんと灯る)
N:車の往来もなく、静かな道。
俺は久しぶりに心が落ち着くのを感じていた。
○現場・警備員詰所(夜)
(警備員・佐藤(28・無骨だが人懐こい)が制服に袖を通す)
佐藤:(独り言、ほっとした様子で)
「今日は静かだな…。
うるさい先輩もいないし、ラッキーだ。
」
(赤く光る警棒を手に、現場へ向かう)
○裏道・交差点角(夜)
(佐藤、最寄りのトイレと自販機を確認し、狭い交差点に立つ)
N:ここなら四方が見渡せる。
今夜はここで過ごそう。
○裏道・交差点(深夜)
SE:遠くで猫の鳴き声
(佐藤、赤い警棒を手に静かに立つ。
その表情はどこか穏やか)
N:最初の一時間で車は二台ほど。
工事区域に入る者はいなかった。
(サラリーマン風の男がふらつきながら通り過ぎる)
佐藤:(苦笑しながら)
「飲み明けか…みんな、お疲れさま。
」
(やがて人通りも途絶え、家々の明かりが一つずつ消えていく)
(佐藤、街灯だけが灯る暗闇に微笑む)
佐藤:(独り言、肩の力を抜いて)
「おいおいサボり放題じゃん。
野良犬すら通らねぇな…」
(間)
SE:カン、カン…と金属音
(佐藤、眉をひそめて音の方を見る)
○工事区画・マンホール付近(深夜)
(パイロンで囲まれたマンホール。
蓋が半開き、そこに人影が浮かぶ)
(佐藤、赤い警棒を握りしめ、緊張しながら近づく)
佐藤:(心の声)(息を殺して)
(午前二時半…こんな時間に作業員はいない。
酔っぱらいか、悪ふざけか…?)
○マンホール付近(深夜)
(男(年齢不詳・不気味な雰囲気)が半身を穴に入れ、じっと動かない)
(赤い警棒の光がリズムを刻むように男の顔を照らす)
(佐藤、距離を詰めるが、男は微動だにせず、ニヤニヤと笑っているように見える)
佐藤:(声を潜めて、警戒しながら)
「…おい、何やってるんだ?」
(男、ゆっくりと佐藤の方へ首を向ける。
顔は歪み、目の焦点は合っていない)
(間)
(佐藤、全身に鳥肌が立つ)
佐藤:(心の声、凍りつく)
(…なんだ、コイツ…人間か?)
(男の表情から、はっきりとした憎悪を感じ取る)
佐藤:(一歩後ずさり、息を詰めて)
(ここにいたら、まずい…!)
SE:車のエンジン音、ヘッドライトが交差点を照らす
(男の姿に光が当たる)
(車が通り過ぎ、佐藤が慌ててマンホール方面を振り返る)
○マンホール付近(直後)
(そこには男の姿はなく、黒い穴だけがぽっかりと開いている)
佐藤:(息を呑む)(目を見開いて)
「…いない……?」
N:夜明けまで、俺は交差点からマンホールを見張り続けた。
○夜明け・工事現場(早朝)
(早番の警備員・木村(35・温厚)が現れる)
木村:
「おはよう、佐藤さん。
どうかした?」
佐藤:(顔色が悪いまま、木村を見る)
佐藤:
「…いや、ちょっと、変なやつがいた気がして…」
(2人でマンホールを覗き込む。
そこには何もない)
木村:(肩をすくめて)
「気のせいじゃない?」
○裏道・交差点(朝)
N:それ以来、マンホールを見るたびに気分が悪くなる。
○回想・マンホール(深夜・再現映像)
(赤い光に浮かぶ、不気味な人影)
N:もし深夜に、同じような人影を見かけたら――
N:すぐに逃げることを、お勧めする。
(BGM:不穏な余韻を残してフェードアウト)
仕事・学校の話:深夜の裏道警備 ~赤い光に浮かぶ影~
深夜の裏道警備 ~赤い光に浮かぶ影~
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