○車内・昼(雨)
(SE:ワイパーの音、車内に小さくラジオの音楽)
登場人物:ユウタ(17・物静かな高校生)
(ユウタ、窓の外に目をやる。
雨粒がガラスを叩く)
N:ショッピングセンターへ向かう途中、ユウタの視線はふと、道の下に佇む古びた病院へ向かった。
○病院前・道路(同時刻)
(SE:雷鳴が轟く)
(カメラ、古い鉄筋コンクリートの病院を捉える。
窓には鉄格子。
雨に煙る空気が重い)
N:昭和の時代に建てられたその病院は、半地下に沈むように建っている。
(ユウタ、車窓からじっと見つめる)
ユウタ:(心の声)(不安げに)こんな暗い日に、なんでこんな場所を通るんだろう…。
(SE:雷鳴がさらに大きく)
(病院の2階、鉄格子のはまった窓の一つに灯りがともる)
(カメラ、窓にズームイン)
(その瞬間、稲光。
パジャマ姿の男が窓際に現れる)
男(30代・やつれた表情):「助けてくれぇぇぇーーー!殺されるぅぅぅーーー!」
(SE:絶叫、雷鳴が重なる)
(ユウタ、凍りついたように動けない)
ユウタ:(声にならない叫び)(息を殺して)
(車内の空気が一瞬で重くなる)
○自宅・ユウタの部屋(夜)
(SE:雨音は遠く、静けさ)
(ユウタ、パソコンの前で震える手でキーボードを打つ)
N:あの光景が頭から離れない。
親に聞く勇気もなく、ネットで病院について調べることにした。
(ユウタ、画面を凝視)
ユウタ:(小声で)精神科…だったんだ…。
(画面には「1F病棟(解放)ミーティングルームあり/2F病棟(閉鎖)」の文字)
(SE:不穏なBGMが流れる)
(ユウタ、椅子から少し体を引く)
ユウタ:(声を震わせて)…やっぱり、あの部屋は閉鎖病棟だったんだ。
(間)
ユウタ:(心の声)(複雑な表情で)差別したいわけじゃない。
でも…あの叫びは本当に、怖かった。
○病院前・再び(夜・回想)
(SE:雷鳴、男の絶叫が遠く響く)
N:ユウタの記憶に焼き付いた、雨と叫びと、鉄格子の窓。
(カメラ、ゆっくりと病院の窓から空へ)
(BGM:切なく静かな曲が流れ始める)
(画面フェードアウト)
怖い話:雨音に消える叫び 〜記憶に刻まれた病院の窓〜
雨音に消える叫び 〜記憶に刻まれた病院の窓〜
🎭 ドラマ に変換して表示中
読了
スワイプして関連記事へ
0%
記事要約(300文字)
ダミー1にテキストを変換しています...
0%
変換中
コメント