■雷雨の日、古い病院で叫ぶ男性目撃――現場で何が起きていたのか
6月某日、関東地方の郊外に位置するショッピングセンターへ向かう途中、記者はある異様な光景に遭遇した。
現場は昭和30〜40年代に建設されたとみられる鉄筋コンクリート造の病院前。
雨雲が空を覆い、昼間でありながら雷鳴が響き渡る中、2階の鉄格子がはまった窓からパジャマ姿の男性が顔を出し、「助けてくれ!殺される!」と大声で叫んでいた。
■道路下の半地下構造 精神科病棟の実態
この病院は、道路よりも一段低い位置に建ち、半地下構造となっている。
道路からは建物の1階上部から2階部分が見え、窓にはいずれも鉄格子が設置されている。
病院入口には「1階病棟(解放)、ミーティングルームあり」「2階病棟(閉鎖)」との案内表示があり、2階は閉鎖病棟とされている。
埼玉県内の精神医療に詳しい医療ジャーナリスト・田中正人氏によると、「閉鎖病棟とは、精神疾患患者の安全や治療のため、出入りを厳密に管理するフロア。
鉄格子や施錠は、患者の自傷・他害防止および脱走防止が主目的である」という。
■現場周辺の住民は
記者が現場周辺の住民に取材したところ、「昔からあの病院は精神科と知られていた。
時折、叫び声が聞こえることもあるが、職員がすぐに対応している」との証言が得られた。
一方で、「最近は建物の老朽化が進み、不安に感じる住民も少なくない」との声もあった。
■精神疾患と偏見 専門家の見解
精神疾患患者の入院治療は、患者本人や周囲の安全確保のために必要な場合があるが、外部からの閉鎖的な印象や叫び声などが近隣住民に強い不安を与えることもある。
精神科医の小林有希氏は「精神疾患患者への偏見や誤解は根強い。
だが、叫び声や異常行動は病状の一部であり、医療現場では適切な管理が求められる」と語る。
■今後の課題と地域社会の役割
病院側は「患者の安全管理と地域住民の安心の両立が重要」とし、今後は施設の老朽化対策や地域への情報発信を強化する方針を示している。
精神医療が地域に根差すためには、正しい知識の普及と偏見の解消が不可欠である。
今後、こうした施設がどのように改善され、地域との共生が進むのか。
専門家は「地域社会と医療機関が連携し、精神疾患に対する理解を深めることが重要」と指摘している。
(取材・文/本誌編集部)
怖い話:昭和築の精神科病院で「助けて」叫ぶ男性 雷鳴轟く中の異様な光景とは
昭和築の精神科病院で「助けて」叫ぶ男性 雷鳴轟く中の異様な光景とは
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