怖い話:暗闇に響く絶叫――古びた病院の窓辺で出会った恐怖

暗闇に響く絶叫――古びた病院の窓辺で出会った恐怖

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■【起】〜薄暗い午後と不気味な病院の影〜
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ショッピングセンターへ車で向かう、どんよりとした日の午後。
雨雲が空を覆い、昼間だというのに周囲は薄暗く、時おりカミナリの音が遠くで響いている。

そんな中、道沿いにひっそりと佇む、昭和30~40年代の香りを残す病院が目に入った。
コンクリートの外壁は古び、病院は道路より低い場所、半地下のような構造に建っている。

窓には重々しい鉄格子がはまり、道路からは1階の上部と2階部分だけが見えた。
無機質で冷たいその姿に、なぜか心がざわつく。

■【承】〜窓の奥に灯る微かな違和感〜
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その日はたまたま買い物の用事があり、車を走らせながら病院の前を通り過ぎた。
ふと目をやると、鉄格子がはまった2階の部屋のひとつにだけ、ぽつんと明かりが灯っているのが見えた。

どこか異様な雰囲気に心が引っかかりつつも、何気なくその光を眺めていた。
雨脚は強まり、カミナリの音がさらに大きくなってきた。
暗闇の中で、唯一の明かりだけが強く印象に残る。

■【転】〜雷鳴と共に現れる絶望の叫び〜
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その瞬間だった。
激しいカミナリの閃光と共に、窓からパジャマ姿の男性が顔を出し、大声で叫んだ。

「助けてくれぇぇぇーーー!殺されるぅぅぅーーー!」

突然の絶叫。
鉄格子越しの叫びは、雷鳴と雨音に混じって異様なほど鮮明に耳に焼きついた。
恐怖で体が凍りつき、その光景が頭から離れなくなった。

■【結】〜消えぬ恐怖と静かな理解〜
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あまりの恐ろしさに親に尋ねることもできず、自分でネット検索をしてみた。
すると、その病院は精神科であることがわかった。
「あぁ…そうだったんだ」と、どこかホッとしたような、でも複雑な気持ちになった。

病院の案内には「1F病棟(解放)、2F病棟(閉鎖)」の文字。
鉄格子の理由も理解できたが、あの窓辺での絶叫は、今もなお心の奥に不安として残り続けている。

精神疾患の方を差別する気持ちはない。
ただ、あの日見た光景は、今でも忘れられないほどの恐怖だった。
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