セイコーマートの小さな奇跡

私はセイコーマートで働き始めて三年が経ちます。

店には小さな常連客がよく訪れます。

彼は生まれつき目が見えず、白い杖をついて週に二、三度母親と来店します。

ある日、彼が一人で店の入口に立っていました。

ドアは引き戸だったので、私は開けようとしました。

その時、同年代の子供二人が通りかかり、こう言いました。

「お前、目が見えないんだろ？
素直に親が帰るまで、家で大人しくしてろよ。
バカだなぁ」

私はその冷たい言葉に憤りを感じました。

障害を持つ人に対する言葉として許せなかったからです。

子供たちに何か言おうとしたその時、一人が言いました。

「ほら、先に入れよ。
ドア開けとくから」

彼らはその子の手を取りました。

「何を買いに来たの？」と尋ねると、彼は答えました。

「お母さんが熱を出してるの。

だから水枕の氷を買いに来たんだ」

子供たちは彼をレジまで連れて行き、氷を持ってきました。

「398円です」と私が告げると、二人は快く応じました。

「いいよ、俺が払っとくよ！その代わり、君のお母さんが良くなったら一緒に遊ぼうな！」

彼らは会計を済ませ、その子の家まで同行したようです。

一人は氷を持ち、もう一人は彼の手を引いて帰って行きました。

その日、私は小さな子供たちの間に芽生えた本当の友情に心から感動しました。

彼らの小さな勇気と大きな心が、困難な時にこそ互いを支え合うことの大切さを教えてくれました。