小さな勇気、大きな心〜セイコーマートで生まれた友情の物語〜

○セイコーマート・店内（夕方）

（店内には静かなBGMが流れ、レジ奥で制服姿の店員が棚を整えている）

登場人物：
ミカ（28・セイコーマート店員・明るいが芯が強い女性）
ユウタ（8・目が見えない少年・白い杖を持つ）
ユウタの母（30代・優しい雰囲気）
ショウ（8・快活な男の子）
カズキ（8・少し照れ屋な男の子）

N：私がこの店で働き始めて、もう三年が経つ。

N：店には小さな常連客がいる。
ユウタくん。
彼は生まれつき目が見えない。

○セイコーマート・入口（夕方）

（ユウタが白い杖を手に、扉の前で立ち止まっている）

SE：ガラガラ…（自動ドアではない引き戸の音）

ミカ：（ユウタに気づいて、そっと近づく）（微笑んで）
ミカ：ユウタくん、今日はお母さんと一緒じゃないんだね。

（ユウタ、少し不安そうに顔を上げる）

ユウタ：（小さな声で）
ユウタ：うん…お母さん、今日は家で寝てるの。

（そこへ、ショウとカズキが店の前を通りかかる）

ショウ：（ユウタを見つけて、やや強い口調で）
ショウ：なあ、お前、目が見えないんだろ？
カズキ：（戸惑いながらも、うなずく）

ショウ：素直に家で大人しくしてりゃいいじゃん。
バカだなぁ。

（ミカ、怒りを抑えてショウに近づく）

ミカ：（声を低く）（怒りを堪えて）
ミカ：そんな言い方、やめなさい。

（間）

（ショウ、一瞬言い返しかけるが、ふと表情を変える）

ショウ：（照れ隠しに、ぶっきらぼうに）
ショウ：…ほら、先に入れよ。
ドア、開けとくからさ。

（カズキがユウタの手を取る）

カズキ：（優しく）
カズキ：何か、買いに来たの？

ユウタ：（少し安心したように）（声を震わせて）
ユウタ：お母さんが熱を出してて…水枕の氷を買いたいんだ。

○セイコーマート・レジ前（続き）

（ショウとカズキがユウタを優しくエスコートし、レジまで連れて行く）

（ミカ、気丈に微笑みながら氷を手渡す）

ミカ：（明るく）
ミカ：はい、氷ね。
398円です。

ショウ：（即座にポケットから小銭を出し）（少し照れながら）
ショウ：俺が払っとくよ！
カズキ：（笑顔で）
カズキ：そのかわり、お母さんが良くなったら一緒に遊ぼうな！

（ミカ、三人のやりとりに目を細める）

○セイコーマート・店外（夕方）

（ショウが氷の袋を持ち、カズキがユウタの手を引く）

SE：小さな足音が遠ざかる

ミカ：（遠くを見つめて、静かに微笑む）
N：あの日、私は子どもたちの間に生まれた本当の友情に、心から感動した。

N：小さな勇気と大きな心が、困難なときこそ人を支える。

N：それを、彼らが教えてくれた。

（BGM：感動的なピアノ曲が静かに流れ始める）

○セイコーマート・店内（夜）

（ミカが一人、レジ横で遠くを見つめている）

（フェードアウト）