不思議な話:時を超えて巡る異世界―魂の軌跡と再会の予感

時を超えて巡る異世界―魂の軌跡と再会の予感

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■【起】〜闇に導かれた異世界への最初の扉〜
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投稿の流れを無視してしまい、申し訳ありません。
ですが、過去ログを読んでいるうちに、私も似たような体験をしたことが思い出され、思わず筆を執りました。
創作だと思われても構いません。
それでも、どうしても、この出来事を書き記したくなったのです。

私が異世界に迷い込んだのは、人生で3度。
最初は9歳か10歳のころ、次は23歳、そして3度目は36歳の時でした。
奇しくも、いつも私生活が混乱し、心が沈んでいる時でした。

最初の体験は、家庭も学校も崩壊寸前だった少年時代。
家庭内の争いといじめに耐えきれず、眠りについたある夜、ふと目覚めて暗い外へと導かれるように歩き出していました。
気づけば、そこは見知らぬ森。
まるでジャングルのような場所でした。

森の中で老婆に出会い、彼女の家に招かれました。
そこには電気もなく、昔ながらの小さな集落があり、老婆の家族や元気な子供たちと、短いながらも温かい時間を過ごしました。
3日ほどで現実に戻され、母親に問い詰められましたが、向こうでの出来事は夢のように消えてしまったかのようでした。
けれど、体に残る傷や汚れが、あれが現実だったことを静かに物語っていました。

■【承】〜絶望と再訪、心を通わせたもう一つの世界〜
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その後、10年以上の時が流れました。
異世界の記憶も、ただの夢だったと納得しようとしながら、母親の再婚や祖父母の家での生活、父親や自分への悪口に耐える日々を過ごしていました。
高校卒業とともに上京し、ブラック企業で働きづめの毎日。
すり減った生活の中、23歳の時に再び異世界へと導かれます。

その時も私生活は荒れていました。
会社では責任ばかり重く、先輩からは金をせびられ、暴力団との関わりまでできてしまった。
ある休日、飲めない酒に手を出した夜、再びあの森に足を踏み入れたのです。

森で出会ったのは、片言の日本語を話す若い女性。
彼女に導かれて集落へ戻ると、かつての村そのものでした。
現実世界の辛さから逃げ出したい気持ちと、村での素朴な生活の心地よさが重なり、私は3ヶ月ほどその世界で暮らすことに。
女性とも心を通わせ、村人たちにも受け入れられ、人生で初めて「生きている」と感じる日々でした。

■【転】〜再び喪失、そして最後の帰還〜
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しかし、幸せな時間は突然終わりを告げます。
ある日、前触れもなく現実世界に戻ってしまったのです。
こちらではほとんど時間が経っておらず、私は深い喪失感に襲われました。
あの世界の彼女にもう会えないと、涙が止まりませんでした。

年月が経ち、36歳。
結婚も経験し、地方に引っ越し、堅実に生きようと努力してきましたが、仕事も生活も楽にはならず、妻の浮気や離婚といった新たな苦しみが襲いました。
心が限界に近づいた夜、私は三度目の異世界へ導かれることになります。

村を訪れると、そこには9歳か10歳の少女がいました。
彼女の母親は病で寝込み、父親はすでに他界。
警戒心を見せながらも、私は村の長老の家に泊めてもらい、やがて少女の面倒を見るようになりました。

やがて私は気づきます。
その少女こそが、かつて恋人となった女性であり、最初に出会った老婆でもあったのだと。
彼女もまた、そのことを知っていたのでしょう。
少女が成長し、20代になるころ、私は彼女の前から姿を消します。
そして3年後、私はまた現実世界へ戻されてしまったのです。

■【結】〜終わらない巡りと希望の妄想〜
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現実世界での私は、わずか一日しか経っていませんでしたが、外見はすっかり変わっていました。
白髪が増え、日焼けし、深い皺が刻まれていたのです。
会社ではストレスと見なされ、休養を命じられ、病院へ行くことになりました。

あの世界へもう行けないのなら、生きている意味があるのかと、絶望が胸を締めつけます。
しかし、体に刻まれた傷跡は、夢ではない現実を静かに証明し続けています。

そして私は、ただ一つの希望にすがります。
最初に出会った老婆が語っていた「つい最近、夫が亡くなった」という言葉。
もしかしたら、その夫は未来の私自身であり、4度目の異世界で天寿を全うした存在なのかもしれない。
そんな荒唐無稽な妄想だけが、今の私を支えているのです。

未来に希望を見出せない日々の中で、あの異世界への再訪を、静かに、そして切実に願い続けています。
読了
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