「ありがとう」の涙、その理由を知るまで――母と私の逆転物語

「ありがとう、そしていつもごめんね。
」――そう伝えた瞬間、私は涙が止まらなかった。
24歳になった今、もうすぐ母は“バーバ”に、私は“ママ”になる。
その手紙を渡すと、母も静かにうなずいた。

しかし、ここに至るまでの道のりは決して平坦ではなかった。
妊娠の経過は良くなく、私は何度も母に助けを求めた。
年下の彼氏には堕ろすように言われ、私は混乱し、母に「産みたいけど、一人じゃ無理」と泣きついた。
母は激しく叱りながらも、すぐに涙を流し、「私にまだ子宮があれば、代わりに産んであげたのに…」とこぼした。

この言葉が胸に刺さったのは、母が子宮筋腫で子宮を摘出していたことを、私は知っていたからだった。
私は自分の貯金と、母が私のために貯めてくれていたお金で引っ越し、出産資金にあてた。
やがて彼氏も説得し、今ではお腹の子に毎日話しかけている。

だが、時間を少し巻き戻そう。
私は幼い頃から母に心配と迷惑ばかりかけてきた。
家計に余裕がないのに、私は母に反抗し続け、成績も振るわず、母はたびたび学校に呼び出された。
それでも男の子が苦手な私のために、背伸びして私立の女子校に通わせてくれた。
受験がないのに塾にも通わせてくれた。
そのすべてが、私の夢――幼稚園の先生になることへとつながった。
そしてようやく家にお金を入れるようになった矢先、思いがけない妊娠だった。

すべての始まりは、高校時代にふと母に尋ねたあの瞬間だった。
「天国にどんなシーンを持って行きたい？」と聞いた私に、母は即座に「アンタが生まれた瞬間かな」と答えた。
あの時は軽い気持ちで聞いた質問だったが、今になってその意味の深さが分かる。

信じられないかもしれないが、私はまだ未熟な大人だ。
それでも、母のような強さと愛情を、これから生まれてくる娘にも伝えたい。
あの日の母の言葉も、涙も、すべてが私の支えになっている。

そして今、私は感謝を込めてこう伝える。
「世界で一番尊敬している母へ。
ありがとう、そしていつもごめんね。
」