■「あなたが生まれた瞬間」母の言葉に込められた人生の原点
「天国にどんなシーンを持って行きたい?」。
高校時代、何気なく母に投げかけた問いに「アンタが生まれた瞬間かな」と即答した母。
24歳になった現在、間もなく自身が母親になる立場となったAさん(仮名)は、その言葉の重みを改めて実感している。
■経済的困難の中で支えられた少女時代
Aさんの家庭は裕福ではなかったという。
それでも母親は、男子生徒が苦手だったAさんのため、学費の高い私立女子校への進学を決断した。
成績不振で度々学校に呼び出される中、母親は「子どもの居場所を守りたい」との思いから、塾にも通わせた。
Aさんは「家計を顧みず反抗ばかりしていた」と当時を振り返る。
結果、母親を心配させ、時には泣かせることもあったという。
■夢を叶えた後の新たな試練
母親の支えもあり、Aさんは幼い頃からの夢だった幼稚園教諭となる。
家計にも貢献できるようになったが、転機は突然訪れた。
計画外の妊娠が判明し、年下の交際相手からは中絶を求められる。
Aさんは「産みたいが一人では無理」と母に告白。
母親は激しく叱責した後、「私にまだ子宮があれば代わりに産んであげたのに」と涙を流した。
母親は過去に子宮筋腫で子宮を摘出していたという。
■母の貯金が支えに
その後、Aさんは自身の貯金と、母親が密かに貯めていた資金で引っ越しと出産準備を進めた。
交際相手も説得し、現在はお腹の子どもに語りかける日々が続いている。
妊娠経過は順調とは言えず、たびたび母親の世話になっているが、「母は私の決意を尊重し、支え続けてくれている」と語る。
■「母のような愛情を」次世代への願い
Aさんは「私は未熟な大人だが、母が注いでくれた愛情を今度は自分の娘に伝えたい」と決意を新たにする。
近く母親は「バーバ」(祖母)となる予定だ。
Aさんは「感謝と謝罪の気持ちを、世界で一番尊敬する母に伝えたい」と話す。
■専門家「家族の絆が困難を乗り越える力に」
家族問題に詳しい臨床心理士の高橋玲子氏は「経済的・精神的な困難の中でも、親子の絆や無償の支援が当事者の人生を大きく左右する。
社会的な支援とともに、家族内の対話や感謝の意識も重要だ」と指摘する。
Aさんのようなケースは決して特別ではない。
今後、同様の境遇にある若者や家族へ、社会としてどのような支援ができるのかが問われている。
感動する話:「母の支えが私を救った」―24歳女性が語る、親子の絆と新たな命への決意
「母の支えが私を救った」―24歳女性が語る、親子の絆と新たな命への決意
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