■【起】〜何気ない問いと、母のまなざし〜
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「天国にどんなシーンを持って行きたい?」
高校生の頃、ふとしたきっかけで私は母に問いかけた。
そのとき、母は迷わず「アンタが生まれた瞬間かな」と答えてくれた。
淡々とした日常のなかに、母の愛情がしみ込んでいることに、私はその時はまだ気づけなかった。
私たちの家は裕福ではなく、贅沢とは無縁だった。
それでも、男の子が苦手な私のために、母は無理をして私立の女子校に通わせてくれた。
成績がふるわなかった私のために、母は何度も学校に呼び出され、塾にも通わせてくれた。
そのたびに、私は反抗してばかりで、母の苦労を思いやることもなかった。
■【承】〜支えと反発が紡いだ日々〜
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思い返せば、私は母にたくさんの心配と迷惑ばかりかけてきた。
家計に余裕がないことも知らず、わがままにふるまい、母を何度も泣かせてしまった。
それでも、母は私の味方でいてくれた。
そんな母の支えがあったからこそ、私は夢だった幼稚園の先生になることができた。
ようやく自分でお金を稼ぎ、少しずつ家計を助けられるようになったとき、やっと母への恩返しができると思った。
■【転】〜突然の試練、母の涙と言葉〜
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だが、人生は思い通りに進まなかった。
計画もないまま妊娠し、年下の彼氏からは堕ろすように言われた。
「産みたいけど、一人じゃ無理」と母に泣きつくと、母は激しく叱りつけたあと、ぽろぽろと涙を流した。
「私にまだ子宮があれば、代わりに産んであげたのに…」
母は以前、子宮筋腫のため子宮を摘出していた。
母の苦しみと、娘を思う気持ちが痛いほど伝わった。
その後、私は自分の貯金と母がこっそり貯めてくれていたお金で引っ越しと出産の準備を進めた。
彼氏もなんとか説得し、今はお腹の子に毎日話しかけている。
■【結】〜母への感謝、未来へ紡ぐ愛〜
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24歳になっても、私は母に心配と迷惑をかけてばかりだ。
妊娠の経過も良くなく、たびたび母の手を借りている。
それでも、母は私の決意を尊重し、そっと支えてくれた。
私はまだ未熟な大人だけれど、母が私にくれたような愛情を、これから生まれてくる娘にも伝えていきたい。
もうすぐ母になる私から、もうすぐおばあちゃんになる母へ。
心からの感謝と尊敬を込めて――。
ありがとう、そして、いつもごめんね。
世界で一番尊敬している母へ。
感動する話:母が教えてくれた愛のかたち 〜感謝を紡ぐ親子の物語〜
母が教えてくれた愛のかたち 〜感謝を紡ぐ親子の物語〜
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