「夜明けのコピー機〜忘れ去られた4枚の謎〜」

○IT系ベンチャー企業・オフィス（早朝）

SE：キーボードを叩く音、コーヒーメーカーの蒸気音

N：ITベンチャー企業、自由な空気の漂うオフィス。
まだ朝の光が差し込む前、静かなフロアに女性社員たちの声が響き始める。

○同・コピー機前

登場人物：
・佐藤美咲（28・明るく好奇心旺盛な社員）
・中村遥（26・冷静で真面目な社員）
・山口優子（32・おしゃべり好きなベテラン）

佐藤美咲：（コピー機を覗き込み、驚いて）
「え…ちょっと、これ何？」

中村遥：（眉をひそめて、コピー用紙を手に取る）
「何これ…真っ黒。
紙、詰まった？」

山口優子：（興味津々に手を伸ばし）
「ちょっと貸して！…え、これ2枚目、なんか影っぽいの写ってるんだけど…」

（3人、顔を見合わせる）

佐藤美咲：（コピーを3枚目にめくり、目を丸くして）
「まさか…これって…？」

中村遥：（息をのむ）
「まさか、そんな…」

山口優子：（4枚目を見て固まる）
（間）

SE：一拍置いて、静寂

佐藤美咲：（声をひそめて）
「…これ、絶対、人の…」

中村遥：（顔を真っ赤にして、コピーを裏返す）
「やだ、信じられない…」

SE：一斉にざわつくオフィスの音

N：誰が、何のためにこんなことをしたのか。
空気が一変し、静かな朝が一気に騒然となる。

○同・オフィス廊下（夕方）

（BGM：ややコミカルな曲調に）

登場人物：
・田辺翔太（29・夜型生活のエンジニア、服装に特徴あり）
・山田誠（34・お調子者の男性社員）
・他数名の社員

山田誠：（田辺を呼び止め、怪訝な顔で）
「田辺、お前…昨日、夜中、オフィスにいたよな？」

田辺翔太：（気まずそうに目をそらし）
「あ、ああ…まあ、いつも通り」

山田誠：（じっと見つめて、服装を指差し）
「なあ、これ…お前のズボンとそっくりじゃね？」

（他の社員たちもざわつく）

田辺翔太：（しどろもどろで）
「え、いや…それは…」

山田誠：（追及しながら）
「正直に言えよ。
あのコピー、まさかお前…？」

（間）

田辺翔太：（観念した様子で、苦笑しながら）
「…ごめん。
ちょっと、出来心で…」

○回想・オフィス（深夜）

SE：無人の静寂

（田辺翔太、ズボンを下ろしながらコピー機に跨る）

N：人がいない夜中、ふとした気の迷い。
田辺は誰にも見られないと思い、コピー機の「濃さ」を調整しながら…必死に自分の局部を印刷していた。

（田辺が慌ててズボンを上げ、コピー機を離れる）

○同・オフィス（現在）

佐藤美咲：（笑いをこらえながら）
「想像したら…なんか、笑っちゃう…」

中村遥：（苦笑いで）
「…でも、ちょっと気味も悪いよね」

山口優子：（ため息をつきながら）
「まったく、男って…」

SE：全員、しばらく沈黙

N：自由な社風のベンチャー企業でも、誰かの一瞬の出来心が、朝の静けさを大騒ぎに変えることがある。

（BGM：フェードアウト）