○自宅・リビング(夜)
SE:食器の触れ合う音、遠くの笑い声
N:私は町内の子ども会役員。
(BGM:軽やかな日常の音楽)
N:先日、ちょっとした作業で自宅に7人を招いた。
その中には、手癖が悪いと噂のAさんもいた。
(カメラ、テーブルを囲む数人の主婦。
和やかな雰囲気)
○同・キッチンカウンター(夜・数時間後)
SE:ドアが閉まる音
(主人公・ミサキ(35・落ち着いた雰囲気)、一人で後片付けを始める。
ふとカウンターに目をやる)
ミサキ:(首をかしげて)あれ…?人形、ここに置いたはずなのに…。
(キョロキョロと探す)
N:それはウィスキー瓶で作られた黒人人形。
夫が一人暮らしを始める時、義母から無理やり渡された曰く付きの品だ。
○回想・引っ越しの日(数年前)
SE:ダンボールを開ける音
義母(60代・勝気な女性):これはお守りだから、持っていきなさい。
夫・タカシ(38・おっとり):え、いや…そんな…
(ミサキ、呆れた表情で人形を見る)
○自宅・リビング(夜・現在)
N:結婚時に捨てたはずが、いつの間にか段ボールの中から現れる。
我が家では「呪いの人形」と呼んでいた。
(ミサキ、ソファで夫・タカシと話す)
タカシ:(ビールを飲みながら)警察沙汰になって人形が戻ってきたら、どうすんの…!
ミサキ:(苦笑しながら)もうAさん、家に呼ばない方がいいよね。
(間)
ミサキ:(心の声)手癖が悪い人って何でも持っていくんだな…。
どうせならオカンアートの軍手ピエロも持っていってくれればいいのに。
(BGM:フェードアウト)
○寝室(深夜)
(ミサキ、酔いつぶれた夫を寝床に連れていく)
SE:布団の音
ミサキ:(小声で)おつかれさま…。
(そっと毛布をかける)
○数日後・自宅前(昼)
(Bさん(40代・快活な女性)、Aさん(40代・小柄で挙動不審)と玄関先で立ち話)
SE:鳥のさえずり
Bさん:(ふと廊下のゴミ袋を見て)…え?あれ…(目を凝らして)
Bさん:(驚いて)ちょっとAさん!これ、ミサキさんの家の黒人人形じゃないの!?
Aさん:(顔を青ざめ、手を震わせて)ち…違う…違うの…(膝から崩れ落ち、泣き崩れる)
SE:泣き声
○自宅・リビング(昼・続き)
(Bさん、Aさんを引きずるように連れてくる。
手には黒人人形)
Bさん:(やや怒りを込めて)ミサキさん、これ、返しに来たよ!
Aさん:(涙をこらえて)ごめんなさい…本当に…ごめんなさい…(頭を下げる)
(間)
ミサキ:(複雑な表情で人形を受け取る)(心の声)できればピエロも持っていってほしかったけど…
Bさん:(Aさんに説教しながら)ちゃんと反省しなさい!こういうの、繰り返しちゃダメなんだから!
(Aさん、うつむいたまま頷く)
N:警察沙汰にはしない。
その代わり、Aさんには心療内科への通院を約束してもらうことにした。
Aさん:(涙を流しながら)…欲しくないのに、手が…勝手に…
(ミサキ、静かに頷く)
ミサキ:(夫と目を合わせて、小さく息を吐く)
○キッチン(夜)
(帰宅したタカシ、カウンターで黒人人形と再会)
タカシ:(驚愕の表情で)くわっ!!
SE:奇声
ミサキ:(油揚げを焼きながら、肩をすくめる)(心の声)泥棒に盗まれても戻ってくる黒人人形…。
怖すぎるよ…。
(BGM:コミカルに転調、フェードアウト)
N:黒人人形は、不燃ごみの日に瓶ゴミと一緒に捨てるつもりだ。
(画面、ゆっくり暗転)
怖い話:消えた黒人人形と、手癖という名の呪い
消えた黒人人形と、手癖という名の呪い
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