不思議な話:多摩川の奇穴と、時空を越えた祈り

多摩川の奇穴と、時空を越えた祈り

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○多摩川・河原(昼)

N:14年前の、あの日——。
すべては突然始まった。

SE:川のせせらぎ、風に揺れる草の音。

○同・河原(続き)

登場人物:ミツキ(12・好奇心旺盛な少年)

(草むらの中を歩き、時折しゃがみ込んで何かを探している)

ミツキ:(独り言、ワクワクしながら)
この辺、虫とかいそうだな…。
あれ、あれ何だろう…?

(斜面の草むらの奥、妙な暗がりに目を留める。
近づく)

○奇妙な穴の前(昼)

(穴の入口を覗き込むミツキ。
不安と興奮が入り混じった表情)

ミツキ:(声をひそめて)
……穴? こんなところに?

(手で草をかき分けながら、足を滑らせて中へ)

SE:草の音、土を踏む音

○奇妙な穴の中(昼・薄暗い)

(四つん這いで進むミツキ。
奥から、かすかな光が漏れている)

ミツキ:(呼吸を整えながら、小声で)
……なんか、冒険みたいだ。

(5メートルほど進むと、急に正面に板壁が現れる。
止まるミツキ)

ミツキ:(驚きと戸惑い)
えっ……?

SE:手で板壁を叩く音

ミツキ:(心の声・不安げに)
なんで、こんなとこに壁…?

(振り返るが、来た道は暗い。
ためらいながら這い戻る)

○栃木・山中の神社・縁の下(午後)

(ミツキ、穴から這い出る。
視界が開ける。
古びた神社の縁の下)

SE:鳥の鳴き声、風の音

(周囲を見回し、驚愕するミツキ)

ミツキ:(声を震わせて)
……どこ、ここ……?

(出口の板壁には色褪せたお札が何十枚も貼られている)

(ミツキ、混乱し、涙をこらえきれず泣き出す)

ミツキ:(泣き叫びながら)
おかあさーん!! だれか、たすけてぇ!

(縁の下から這い出し、山を駆け下りる)

○山道(午後)

SE:足音、息を切らす音

(舗装された道路へ飛び出すミツキ)

ミツキ:(息を切らせて、周囲を見渡す)

(道路沿いを歩き、やがて町の交番へ)

○町の交番(午後)

登場人物:警察官(40代・冷静)

(ミツキが飛び込む。
警察官が驚いて立ち上がる)

警察官:(驚きつつも落ち着いた口調で)
どうしたんだ、坊や?

ミツキ:(泣きじゃくりながら)
……へんな穴に入ったら……知らないとこ……お札が……!

警察官:(ミツキの話を遮るように)
落ち着いて。
まず、君の名前と住所を教えてくれるかな?

(メモを取りながら、ミツキの頭を軽くなでる)

警察官:(電話を取り、素早く手配)
はい、発見しました。
……ええ、すぐに迎えを。

SE:受話器を置く音

ミツキ:(警察官に縋るような目で)
なんで……なんであんなことに……?

警察官:(困ったような笑み)
わからないなあ。
……ちょっと、不思議な話だね。

○自宅・リビング(夜)

登場人物:母(40代・やさしげ)、父(40代・無口)

(両親が心配そうにミツキを迎える)

母:(涙ぐみながら)
ミツキ、大丈夫だった? もう怖い思いしなくていいからね。

父:(腕を組み、複雑な表情で)
……何があったのか、俺にもよくわからん。

ミツキ:(目を伏せて、ぽつりと)
……誰も、わからないんだね。

(間)

○回想・多摩川の河原(再び・夕方)

N:あの日、僕は親戚の葬式で一人きりだった。

寂しさを紛らわせるため、河原を何気なく歩いていた——。

(川と土手の斜面、草むらに隠れた小さな穴。
奥から漏れる光)

N:なぜ、あの穴に惹かれたのか。
今でもわからない。

(BGM:切ない曲調に変わる)

○ミツキの自室(夜・現在)

(成長したミツキが、窓の外を見つめている)

N:あれから時は流れても、あの不思議な体験は、今も心に深く刻まれたままだ。

(ミツキ、胸に手を当てて、そっと目を閉じる)

(静かな余韻)

(フェードアウト)
読了
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