修羅場な話:「次にタバコを吸ったら、私の指を切る」――母の決意が夫を変えた日

「次にタバコを吸ったら、私の指を切る」――母の決意が夫を変えた日

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「次にタバコを吸ったら、私の指を落とす。
あんたの指じゃなくて、私の指。
その意味、わかる?」
そう宣言した私を前に、夫は絶句した。
ついに彼はタバコをやめた。
以来「嫁がキチ」と言われるようになったけれど、娘が笑顔で私の鼻をつつく姿を見れば、それでいいと思える。

だが、なぜこんな極端な宣言をするに至ったのか。
話は数日前、あの夜にさかのぼる。

娘が突然、寝息をたてていたのに呼吸を止めた。
隣でゴロゴロしていた私は、パニックになりながら名前を呼び、服を脱がせて胸を叩いた。
それでも目を開けない。
泣きながら必死で心臓マッサージをすると、娘はふと息を吹き返し、大泣きした。
私も恐怖と安堵で、娘を抱きしめて泣いた。

病院で「原因不明、乳幼児突然死のようなものかもしれない」と言われて震えが止まらなかった。
もし、あのまま娘が戻らなかったら――そう思うと、心が壊れそうだった。

その恐怖の直後、私は夫に向き合った。

「タバコをやめて」と、何度目か分からない訴えをぶつけた。
夫は「俺はやめるつもりない!」と突っぱね、毎回ケンカになる。
それでも、もう逃げられないと覚悟を決めた。

乳幼児突然死のリスク要因には、タバコが含まれると知っていた。
なのに、私は夫の喫煙を止められなかった。
私の実家も夫の実家も家族全員がヘビースモーカーで、里帰りもできず、一人で育児をしていた。
夫は自宅ではベランダ、仕事中もいつも通り喫煙していた。

すべての始まりは、夫との「子供が生まれたらタバコをやめる」という約束だった。
なのに夫は約束を破り続け、私は見て見ぬふりをしていた。

娘の命が危険にさらされて初めて、私は本気で夫に立ち向かった。
自分の指を切り落とすとまで宣言したのは、私自身の覚悟を示すためだった。

今では、普段ならイラッとする夫の言動もスルーできるようになったし、ケンカも減った。

もし娘を失っていたら、私は本物の「キチ」になっていたかもしれない。

だけど、娘が無事で、今こうして笑ってくれている。

結果オーライ――そう思えるようになったのだ。
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