○自宅・2階の部屋(夕暮れ)
(薄暗い部屋。
扇風機が回り、窓の外では蝉の声が遠くに響く)
N:夏の蒸し暑さが、部屋中にまとわりつく夕方――
(主人公がベッドに横たわり、うっすらと目を閉じている)
SE:ピンポ〜ン、ピンポ〜ン
(主人公、寝返りを打つ)
太一(27・普通の青年):(寝ぼけながら)…誰だよ、こんな時間に。
(しばらく間をおいて)
SE:ピンポ〜ン、ピンポ〜ン
SE:ピンポ〜ン、ピンポ〜ン
太一:(うんざりして)しつこいな…(ため息)
(ゆっくりと起き上がり、2階の窓からそっと外を覗く)
○自宅・玄関前(夕暮れ)
(白っぽい服を着た中年の女性(40・優しげな雰囲気)と、麦藁帽子の幼い女の子(7・色白で無表情)が立っている。
二人とも同じような白い服)
太一:(心の声・警戒しながら)子連れの宗教か…最近多いな、めんどくせぇ。
(ためらいながらも、階段を下りる)
○自宅・玄関(夕暮れ)
(太一、ゆっくりドアノブを回し、玄関ドアを開ける)
(玄関前には誰もいない)
太一:(戸惑って)…あれ?いない。
(首を傾げて辺りを見回す)
(しばし静寂)
太一:(苦笑しながら)なんだよ、せっかく出てやったのに。
○自宅・2階の部屋(夕暮れ・続き)
(太一、再びベッドに横たわる)
SE:ピンポ〜ン、ピンポ〜ン
(驚いて上半身を起こす。
急いで窓の外を見る)
(さっきと同じ親子が玄関前に立っている)
太一:(苛立ち、声を潜めて)…またかよ。
ふざけんな。
(勢いよく階段を駆け下りる)
○自宅・玄関(夕暮れ・続き)
(太一、怒りを抑えて玄関ドアをバーンと開ける)
太一:(怒鳴ろうとして)(間)
(玄関前はやはり無人)
太一:(凍りつく)(戸惑い、辺りをぐるりと見渡す)
太一:(声を潜めて)…嘘だろ、今までいたのに…(手が震える)
(長い沈黙)
SE:ピンポ〜ン、ピンポ〜ン
(目の前のインターホンが、誰もいないまま鳴り響く)
太一:(恐怖で顔を歪めて)うそ…なんで…(後ずさりし、慌てて家の中へ飛び込む)
(ドアを閉め、鍵をかける。
息を切らしながらカーテンを閉め、布団にもぐりこむ)
SE:ピンポ〜ン、ピンポ〜ン(しばらく鳴り続ける)
太一:(心の声・怯えながら)…もう、やめてくれ…(布団を深くかぶる)
(BGM:不穏な曲が静かに流れる)
(フェードアウト)
○翌朝・自宅・太一の部屋
(太一が布団の中で眠っている)
SE:バタバタとドアを叩く音
母(50・快活な女性):太一!ほら、あんたに手紙よ。
女の人からみたい!
(太一、寝ぼけ眼で起き上がる)
太一:(不機嫌に)…女の人?なんで分かるんだよ。
(母、にやにやしながら白い封筒を差し出す)
太一:(封筒を受け取り、表面を確認する)…名前、書いてないじゃん。
(恐る恐る封を切り、中身を取り出す)
(綺麗な文字で書かれた一文)
N:そこには、たったひとこと――
(手元の手紙の文字にカメラ、ゆっくりズームイン)
「なにかがあなたの家へ入ろうとしています」
(太一、息を呑み、顔色が凍りつく)
(SE:蝉の声が一瞬途切れる)
(長い沈黙)
(BGM:静かに不穏さを残してフェードアウト)
怖い話:夏の夕暮れ、鳴り続けるチャイムと白い親子の謎
夏の夕暮れ、鳴り続けるチャイムと白い親子の謎
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