怖い話:「なにかが家に入ろうとしている」―逆転する恐怖の夏

「なにかが家に入ろうとしている」―逆転する恐怖の夏

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「なにかがあなたの家へ入ろうとしています」

白い封筒の中、綺麗な文字でそう書かれた手紙を見た瞬間、背筋が凍った。
まさか、あれが本当に――?

その朝、母親にたたき起こされ、渡されたその手紙。
名前も差出人もない、ただ無機質な白い封筒。
「女の人からみたいよ」と、にやにや笑う母親の声が、なぜか不気味に耳に残る。
新聞を取りに出て見つけたんだという。
俺は、昨日の出来事がまるで悪い夢だったかのように思いたかった。

だが、あの晩の光景は鮮明に焼き付いていた。

玄関のインターホンが、誰もいないのに鳴り続けていたのだ。
ドアの前には誰もいないのに、ピンポーン、ピンポーンと。
俺は慌てて家に飛び込んで鍵を締め、カーテンの隙間からも外を覗くことすらできず、布団にもぐり込んだ。
チャイムの音はしばらく続き、やがて静かになったが、恐怖は消えなかった。

すべては、あのしつこいチャイムから始まった。

夕暮れ、蒸し暑い部屋で昼寝をしていた俺の耳に、インターホンの音が何度も響く。
面倒で無視していたが、あまりにしつこいので二階の窓から玄関を覗くと、白い服の中年の女と、麦わら帽子の女の子が無言で立っていた。
二人とも不自然なほど静かで、どこか現実感がなかった。

宗教の勧誘かと思い、仕方なく階段を下りて玄関を開けたが、そこには誰もいなかった。
ただの見間違いかと思い、再び部屋に戻ったが、またしてもチャイムが鳴り始める。
窓から見下ろすと、さっきの親子がまた立っている。
俺は怒りに任せて玄関へ駆け下り、ドアを勢いよく開ける――しかし、やはり誰もいない。

それでもチャイムは鳴り続け、やがて「誰もいないのに、インターホンが鳴り響く」不可解な恐怖に変わっていった。

――実は、あの親子が本当にこの世のものだったのか、今となってはわからない。

ただ一つ確かなのは、「なにかが家へ入ろうとしている」という警告だけが、現実として俺の手元に残ったということだ。
読了
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