あの日のプロポーズが、今も僕たちをつなぐ

○自宅・リビング（夜）

N：誰もが一度は、無邪気な恋をしたことがあるだろう。
けれど、その恋がここまで尾を引くとは、当時の僕は思っていなかった。

（テーブルを囲んで家族が夕食をとっている。
笑い声が響く）

母（50代・明るい性格）：ねぇ、またあの話していい？

（弟がニヤリとする）

弟（15・お調子者）：あー、あれね、兄ちゃんの伝説のやつ！

健太（18・主人公・穏やか）（苦笑しながら）：「…またそれ？」

（母と弟、顔を見合わせ笑う）

母：（からかうように）だって、あんた、小1のときにプロポーズしたもんねぇ！

SE：家族の笑い声

健太：（目を伏せて）（心の声）なんで、こんなに何度も…（小さくため息）

（カメラ、健太の表情にゆっくりズームイン）

（画面フェードアウト）

○回想・小学校の教室（10年前・昼）

（小さな健太（7）が、同級生の女の子・美咲（7・明るい瞳）に、ぎこちなく手紙を差し出している）

健太（子供時代・7）（緊張しながら）：「…けっ、けっこんしてください！」

（教室のざわめきが止まり、一瞬の静寂）

SE：椅子がきしむ音

美咲：（目を丸くして）（一拍置いて）

美咲：「えっ…ぷっ、うそでしょ？」

（クラスメイトたちが笑い出す）

SE：子供たちの笑い声

N：それは、僕の黒歴史の始まりだった。

（画面フェードアウト）

○回想・小学校・教室（数年後・放課後）

（健太（小５）、友達と廊下を歩いている）

友達A（12・快活）：おい、健太～！あの時のプロポーズ、まだ本気だったのかよ？

友達B（12・照れ屋）：あいつ、いまだに美咲にからかわれてるらしいぜ

健太：（苦笑しながら）：「もう、その話やめてくれよ…」

○回想・中学・校庭（昼）

（健太（15）が友人たちとサッカーをしている。
美咲（15）が遠くから手を振る）

美咲：「健太～！またプロポーズする？」

（友人たちが爆笑）

SE：サッカーボールを蹴る音

健太：（顔を赤らめて）（目をそらす）

N：忘れたくても、誰も忘れてくれなかった。

○回想・高校・教室（放課後）

（健太（18）が窓の外を見つめている。
美咲（18）が近づき、そっと微笑みながら）

美咲：（からかうように・でも優しく）：「健太、あの時のプロポーズ、まだ有効なの？」

（健太、思わず笑ってしまう）

健太：「…もう勘弁してよ」

（BGM：切なくも温かいメロディーが静かに流れ始める）

○自宅・リビング（夜・現在）

（家族の笑いが続く中、健太、ふと遠くを見る）

N：こうして、僕のプロポーズ伝説は、今も家族の食卓で語り継がれている。

（健太、微笑む）

健太：（心の声）ま、悪くないかもな。
少しだけ、誇らしい気もしてきた。

（カメラ、健太の優しい笑顔にズームイン）

（BGMフェードアウト）