高齢者の金融取引現場で、暗証番号設定時の思わぬ混乱が発生していることが、銀行窓口担当者への取材で明らかになった。
2024年6月上旬、都内の地方銀行支店では、新規口座開設に訪れた高齢女性が「4桁の暗証番号」欄に「ど・ん・ぐ・り」と記載する事例が確認された。
同様の問題は、全国の金融機関でも散見されているという。
■高齢者の暗証番号設定に戸惑い
銀行窓口担当者によると、事件は日中の通常業務時間帯に発生した。
80代とみられる女性が新規口座開設の手続きを依頼。
必要事項の記入を求めたところ、「4桁の暗証番号」を決めかねる様子が見られたため、「ご自宅でご検討いただき、後日ご記入を」と案内したという。
翌日、女性が提出した申込用紙には、数字ではなく「ど・ん・ぐ・り」と平仮名で記載されていた。
担当者は「高齢者にとって暗証番号の概念や入力方法が分かりにくい場合がある」と指摘する。
■現場で相次ぐ類似ケース
全国銀行協会の調査(2023年)によれば、75歳以上の口座開設利用者のうち、約12%が暗証番号設定でサポートを求めている。
金融庁担当者は「数字以外の単語や誕生日など、推測されやすい番号を記入するケースも多く、リスク管理上の課題となっている」と話す。
■背景に高齢化とIT化のギャップ
専門家は、背景に「高齢化社会の進展とキャッシュレス化の急拡大がある」と分析する。
高齢者支援団体の担当者は「本人確認やセキュリティ強化が求められる一方、利用者の理解度に合わせた説明や支援体制が重要だ」と指摘する。
■現場の対応と今後の課題
銀行では、高齢利用者向けに「暗証番号の決め方や管理方法」を図解入りで説明するパンフレットを配布するなど、サポートを強化している。
しかし、個人情報保護や犯罪防止の観点からも、現場の負担や対応の限界が課題となりつつある。
■専門家「デジタル格差への対応が不可欠」
ITリテラシー研究の三浦雅彦教授(社会情報学)は「今後も高齢者の金融取引は増加する。
デジタル格差を埋める施策や、より分かりやすい手続き設計が求められる」と提言する。
銀行各社には「誰もが安心して利用できる金融サービス」の実現が、今まさに問われている。
笑える話:高齢者の暗証番号「どんぐり」事件 銀行窓口で見えた認知の壁と現場の悩み
高齢者の暗証番号「どんぐり」事件 銀行窓口で見えた認知の壁と現場の悩み
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