小学校五年生の夏休み、私は昆虫の自由研究のついでに、家の裏手のグランドで不思議な扉を見つけました。
錆びた鉄の扉の向こうは薄暗い地下空間。
懐中電灯を手に冒険心のまま梯子を降りてみると、そこは普段の世界とは少し違う、不思議な場所へと続いていました。
最初はワクワクしながら進んだ通路も、出口を抜けてみれば、見慣れたはずの町並みが微妙に異なっている。
「これは夢?それとも裏世界?」と恐怖と混乱の中、私は必死に元来た道を戻りました。
何とか現実に帰ってこれたものの、それ以来グランドには近づけなくなりました。
大人になって再び訪れても、あの時の感覚は色褪せず、距離を置いてしまったのです。
この体験から、改めて気づかされることがあります。
まず一つは、「好奇心の力」と「境界線の大切さ」です。
未知への好奇心は、私たちを新しい世界へと導いてくれる大切な原動力です。
けれども、一線を越えるときには、そこにある“見えない境界線”の存在を忘れてはいけないのかもしれません。
もし私たちが日常の安心感だけにとどまっていれば、新しい発見や成長の機会は訪れません。
しかし、冒険には危険もつきものです。
時には「戻る勇気」や「引き返す決断」も、同じくらい大切なのだと、この出来事は静かに教えてくれます。
また、「現実の価値」についても考えさせられます。
見慣れた景色が少しズレただけで、心はこんなにも不安になる。
日常の当たり前さや、家族や地域の“いつもの姿”は、一度失いかけてこそ、その大切さを実感できるものかもしれません。
時には、現実に戻ること自体が「最大の冒険」になる――そんな逆説的な真理も、この体験を通じて感じました。
そして、もう一つ。
「怖れ」や「違和感」を無理やり押し殺さなくてもいい、ということです。
無理に慣れようとせず、距離を取る選択もまた、自分を守る知恵なのかもしれません。
人間関係でも、環境の変化でも、違和感を覚えた時には一歩引いてみる。
こうした「自分の感じ方」を信じることが、人生を進むうえでの大切な指針になるでしょう。
もしあなたが、日常と違う“裏世界”に迷い込んでしまったら――
慌てて戻るのも、しばらく観察するのも、どちらも間違いではありません。
ただ、どこまでが自分にとって安全な範囲なのか、自分なりの「境界線」を心の中に持っておくこと。
それが、未知に向かう勇気と、戻る力の両方を育ててくれるのかもしれません。
明日からできる小さな実践として、
・新しいことに挑戦してみるとき、心の中で「ここまでなら大丈夫」というラインを決めてみる
・違和感や不安を感じたら、自分の直感を大切にしてみる
・日常の当たり前や身近な人たちに、改めて感謝してみる
こうした小さな心がけが、人生の“冒険”をより豊かにしてくれるはずです。
そして、あなた自身の「裏世界体験」が、きっと新しい気づきや学びに変わっていくことでしょう。
不思議な話:「裏世界」体験が教えてくれた、日常と未知の境界線――迷い込む勇気と戻る力
「裏世界」体験が教えてくれた、日常と未知の境界線――迷い込む勇気と戻る力
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