○田舎町・自宅・子供部屋(夜)
(暗い部屋。
小さなベッドで、ユウタ(5歳・好奇心旺盛な男の子)が一人で寝ている。
窓の外には遠くに町の明かり)
SE:虫の鳴き声
SE:時計の針が静かに進む音
N:5歳の夏。
父の転勤で引っ越してきたこの田舎町。
知らない景色、知らない空気、そして、知らない夜。
(ユウタ、布団の中で目を開けて天井を見つめている。
不安と期待が入り混じった表情)
○同・子供部屋(深夜)
SE:不思議な風の音
(部屋の隅にぼんやりと光が集まり、巨大なアラジンのランプのような姿をしたジン(年齢不詳・神秘的な存在)が現れる)
ユウタ:(目を丸くして、声を潜めて)
「……だ、誰?」
ジン:(低く優しい声で)
「ユウタ。
夜の散歩に、連れていってあげよう」
ユウタ:(驚きながらも、どこか嬉しそうに)
「うん!」
(ユウタ、迷いなくジンの背中によじ登る)
○同・廊下~隣の部屋(続き)
(ジンがユウタを背中に乗せて、静かに壁をすり抜けていく。
ユウタ、驚きと興奮で目を輝かせている)
SE:空気が歪むような不思議な音
ユウタ:(小声で)
「すごい……!」
○夜空・町の上空(続き)
(ジンとユウタが夜空を飛ぶ。
下に広がる町の風景。
ネオン、川、橋、遠くの山並み)
N:夢みたいな夜だった。
見たこともない世界が、すぐそこにあった。
ユウタ:(声を弾ませて)
「あ、あそこ、学校だ!あっちは川!」
ジン:(微笑みながら)
「君の町だよ。
よく見てごらん」
(ユウタ、風を感じながら町をじっと見つめる)
(BGM:静かで幻想的な音楽が流れる)
○自宅・子供部屋(夜明け前)
(ユウタ、ベッドの上で目を覚ます。
手足を伸ばす。
窓の外が少し明るくなり始めている)
SE:鳥のさえずり
ユウタ:(ぼんやりと天井を見上げて)
「……夢、だったのかな」
○数日後・同・子供部屋(夜)
(再び部屋にジンが現れる。
ユウタ、すぐに起き上がる)
ジン:(穏やかに手を差し伸べて)
「今夜は、もっと遠くへ行こう」
(ユウタ、ためらわずジンの手を取る)
○空の上・半透明の煙突の中(夢の中)
(巨大な半透明の煙突をゆっくり上っていく二人。
煙突の中には柔らかな光があふれている)
ユウタ:(わくわくしながら)
「もっと上に行きたい!」
ジン:(優しく首を振って)
「ユウタ、君はまだ若い。
この上には、今は行けないよ」
ユウタ:(少し寂しそうに、でも納得して)
「……うん」
○自宅・リビング(朝)
(父(40代・実直)、母(30代・優しげ)が朝食を囲む。
ユウタ、嬉しそうに話す)
ユウタ:(夢中で)
「ねえねえ、夜の町ってあんなふうになってるんだよ!学校の横に川があって……」
母:(驚いて)
「そんなこと、どうして知ってるの?」
ユウタ:(得意げに)
「魔法使いが連れてってくれたんだよ!」
父:(苦笑しながら)
「……夢でも見たのか?」
(母、首をかしげる)
N:夢か現か。
けれど、あの夜の風は、今も僕の中で生きている。
(BGM:静かにフェードアウト)
(画面暗転)
不思議な話:夜空を翔けるランプの魔法使い
夜空を翔けるランプの魔法使い
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