■【起】〜田舎の夜と小さな部屋の静けさ〜
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5歳のとき、父の仕事の都合で家族と共に田舎へ引っ越しました。
新しい土地にも徐々に慣れ、毎晩、自分の部屋でひとり眠るのが日課になっていました。
静かな夜、窓の外には田舎町のやわらかな闇が広がっていました。
特に変わったこともない、ごく普通の夜でした。
■【承】〜現れた“アラジンのランプ”の人〜
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ある晩、いつも通り布団に入った私の部屋に、突然、大きなアラジンのランプのような姿をした不思議な人が現れました。
その人はにこやかに「夜の散歩に連れていってあげる」と声をかけてきたのです。
幼い私は怖がることも疑うこともなく、自然とその人の背中に乗りました。
すると、背中ごとすうっと浮かび上がり、隣の部屋を通り抜け、やがて空へと舞い上がっていきました。
眼下には夜の町が美しく広がり、まるで夢のような空中散歩でした。
■【転】〜夜空を越えて、透明なえんとつの中へ〜
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しばらくして、再びその不思議な人が現れました。
今度はただ夜空を飛ぶだけではありません。
彼は私をさらに高く連れて行きました。
気づけば、私たちは大きな半透明のえんとつの中に入り、どんどん上へ登っていきます。
しかし、やがて天井に蓋が現れて先に進めなくなりました。
「この上に行きたい」と頼むと、「まだ若いからこの上には行けない」とやさしく言われてしまいます。
仕方なく、私はその人と共に元の場所へ戻りました。
■【結】〜夢と現実のはざまで残る余韻〜
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これらの出来事は、きっと夢だったのだろうと今では思っています。
しかし、不思議なことに、私は町の細かな様子を親にぴたりと当てて話すことができました。
そのたびに、両親はとても不思議そうな顔をしていたのを覚えています。
私は「魔法使いに連れていってもらったんだよ」と話しましたが、大人たちは信じてくれませんでした。
それでも、あの夜の感覚と町の風景は、今も鮮やかに胸の奥に残っています。
不思議な話:夜空を翔ける魔法使いと、ふしぎな町の記憶
夜空を翔ける魔法使いと、ふしぎな町の記憶
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