沖縄の夜に、ママ友たちの秘密が溶けていく

○自宅・リビング（夜）

N：私は、今年もまた、あの沖縄の夜を思い出している。

（窓の外を見つめている主人公・サチコ（35・落ち着いた雰囲気））

サチコ：（小さく溜息をつきながら）行けなかったな、今年の祭りも…。

（スマホを手に取り、写真を眺める）

N：一年前。
あの日のために、私たちはずっと前から計画していた。

○回想・カフェ（昼）

（陽射しが差し込む席で、サチコとママ友たち5人が集まる）

ミカ（34・快活な性格）：サチコ、沖縄旅行、やっぱ冬にしようよ！

ユリ（36・おっとり）：予算、もう大丈夫なの？

サチコ：（微笑んで）うん、みんなで少しずつ貯めてきたし。

（全員、うれしそうに頷く）

N：あの日、心はすっかり南国だった。

○沖縄・居酒屋（夜）

（泡盛で乾杯するママ友たち、笑い声が響く）

サチコ：（顔を少し赤らめて）こんなに飲んだの、久しぶり…。

（SE：グラスがぶつかる音）

（地元の男性客たちが声をかけてくる）

地元男性A（40代）：どこから来たの？

ミカ：（楽しげに）埼玉からです！

（場が和み、ママ友たちは少しだけ大胆になる）

N：酔いも手伝って、私たちは少し浮かれていた。

○ホテル・露天風呂前（夜）

（5人でバスタオル姿。
貸切のはずの露天風呂の扉を開ける）

（中には見知らぬ中年男性二人が、先に湯に浸かっている）

（全員、凍りつく）

サチコ：（驚いて）え…？

（ミカが一歩前に出て）

ミカ：（明るく）今夜くらい、楽しもうよ！

（他のママ友たち、驚きと困惑の表情）

サチコ：（心の声）（まさか…どういうこと？）

N：そのとき、私はミカの本当の顔を初めて見た気がした。

（間）

○ホテル・客室前の廊下（夜）

（サチコと二人のママ友が慌てて服を着て廊下を走る）

ユリ：（息を切らせて）怖かったね…。

サチコ：（声を震わせて）まさか、あんなことになるなんて…。

○ホテル・別の客室（夜）

（部屋のドアを開けると、またもや見知らぬ中年男性たちが全裸で待機）

（SE：静寂、息を呑む音）

カオリ（35・しっかり者）：……なにこれ、冗談でしょ？

（奥にいるリカ（36・自由奔放）とミカが、平然と座っている）

リカ（ニヤリと）：ねー、すぐ始める？

（サチコたち、言葉を失う）

N：信じられなかった。
ママ友って、何なんだろう。

○ホテル・ロビー（夜）

（サチコ、ユリ、カオリがフロントで事情を説明している）

フロントマン（困惑）：すぐに別のホテルをご案内します。

N：私たちはすぐにチェックアウトした。

○ホテル・駐車場（深夜）

（ミカとリカが、少し開き直った様子でタバコを吸う）

ミカ：（苦笑しながら）だって、ママ友だけの旅行って、こういうことでしょ？

リカ：大人の遊び、したかっただけだよ。

サチコ：（怒りを抑えて）…そういうの、望んでいなかった。

（間）

N：それから私は、沖縄がトラウマになった。

○自宅・リビング（現在・夜）

（家族写真を見るサチコ、穏やかな表情）

N：でも今年、家族で沖縄に行くことになった。

（BGM：静かに、前向きな曲調に変わる）

サチコ：（遠くを見つめて）今度は、きっと大丈夫。

N：あの夜のことも、これで厄落としだ。

（画面フェードアウト）