○地方のパン工場・作業ライン(昼)
SE:機械の稼働音、コンベアが流れる音
N:時給1300円。
短期バイトの募集に惹かれて、俺はこのパン工場にやってきた。
○作業ライン・同(続き)
登場人物:
ユウタ(22・大学生、少し頼りなさげ)
サトウ班長(45・無精ヒゲ、無口)
(ユウタ、白衣と帽子を身につけ、慣れない手つきで流れてくる細長い生地をじっと見つめている)
サトウ班長:(無表情で、淡々と)
「はい、ユウタ君、次。
生地が来たら、こうやってねじるだけ。
テンポ落とさないで。
」
ユウタ:(戸惑いながら)
「は、はい…」
(生地が次々と流れてくる。
ユウタ、必死に手を動かす)
SE:生地をねじる音、機械のリズム音が一定に響く
N:生地が来る、ねじる、生地が来る、ねじる…。
(カメラ、ユウタの手元にズームイン。
手が汗ばんでいる)
ユウタ:(心の声)(焦りと混乱)
(生地が来る、ねじる、生地が来る、ねじる…この繰り返しが、終わらない)
○作業ライン・数時間後
(ユウタ、疲労の色が濃くなってきた顔で、ぼんやりと生地を見つめる)
SE:コンベアの音がだんだん大きくなる
(ユウタ、手を止めそうになり、慌てて動かす。
班長が無言で見ている)
ユウタ:(心の声)(混乱・虚無)
(俺が生地をねじっているのか、生地に俺がねじられているのか…もう、わからない)
(BGM:静かに不穏な曲が流れ始める)
○ロッカールーム(休憩時間)
(ユウタ、ベンチに腰掛け、手を見つめる)
ユウタ:(息を切らしながら)
「…消えていくみたいだ。
俺自身が。
」
(隣に座るバイト仲間・タケシ(18・高校生、気弱そう)、顔を真っ青にしている)
タケシ:(声を震わせて)
「俺…もう無理かも…生地が夢に出てくるんだよ…」
ユウタ:(苦笑しながら)
「気持ち、わかるよ。
」
○作業ライン・翌日
(ユウタ、再び作業に戻る。
生地をねじり続ける)
SE:生地が流れ続ける音
N:2週間。
俺は、ただひたすら生地と向き合った。
○作業ライン・別の日
(アンパン担当のシバタ(19・小柄)が、ごまを振る作業をしているが、手が止まり、肩を落とす)
シバタ:(小声で、涙をこらえて)
「…もう、限界だ。
」
(シバタ、帽子を脱ぎ、作業場を去る)
SE:ドアが閉まる音
○工場外・夕暮れ
(ユウタ、工場を見上げる。
夕陽が差し込む)
ユウタ:(心の声)(静かな決意)
(パン工場だけは…みんな、やめておけよ)
(BGM:静かにフェードアウト)
N:あのねじれた時間は、今も俺の手に残る。
笑える話:ねじれた時間の中で ―あるパン工場バイトの記憶―
ねじれた時間の中で ―あるパン工場バイトの記憶―
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