■【起】〜時給1300円の誘惑、そして工場の扉を開く〜
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地方のパン工場で短期バイトをすることになった。
きっかけは、時給1300円という響きに惹かれたことだった。
学生にとっては、かなり魅力的な額だ。
特別なスキルもいらないし、ただ作業をしていればいい。
そんな気楽な気持ちで、俺は工場の扉を開いた。
■【承】〜単純作業の無限ループ〜
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いざ現場に入ると、俺に与えられた役割は「ねじりパン」を作ること。
ベルトコンベアから流れてくる細長い生地を、ひたすらねじり続けるだけ。
生地が来る、ねじる。
生地が来る、ねじる。
生地が来る、ねじる。
延々と同じリズムが続いていく。
この単純な繰り返しを、6時間も続ける。
当然、途中で感覚が麻痺してくる。
最初は「楽勝だ」と思っていた自分が、だんだん無口になっていった。
■【転】〜自分が消える感覚、心を折る作業の果て〜
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作業を続けるうちに、ふと自分がねじっているのか、生地に自分がねじられているのか分からなくなってきた。
単調すぎる繰り返しに、意識がぼやけていく。
まるで自分が消えていくような、そんな感覚に陥った。
俺はなんとか2週間耐えたけれど、アンパンのてっぺんにゴマを振るだけの作業をしていた同僚は、たった2日で辞めていった。
■【結】〜パン工場で学んだこと、そして静かな忠告〜
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パン工場の仕事は、想像以上に心身をすり減らすものだった。
時給や気楽さに惹かれて入っても、簡単には続かない。
これから短期バイトを探すみんなへ、俺からのささやかな忠告を送りたい。
――パン工場だけは、やめておけよ。
笑える話:終わらないねじり──パン工場で消えかけた自分の輪郭
終わらないねじり──パン工場で消えかけた自分の輪郭
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