ゆったり沖縄コンビニ夜話〜くろい影とでーじびっくり体験さー

僕は前にコンビニの夜勤してたさー。
家から自転車で20分くらいのチェーン店で、駅からも離れてる静かな場所にあったわけさー。
だから夜中はほとんど人も来んくて、僕は品出しにゆっくり専念できたさー。
この仕事の気楽さが、でーじ好きだったさー。

ある晩ね、店の周りにうろうろしてる不審な影に気づいたさー。
誰かも、何歳ぐらいかも分からなかったけど、真夜中になると黒い影が店の周りを歩きまわってたさー。
もしかしたら万引きしようとする人が下見してるかもな〜って思って、ちょっと気を引き締めたさー。

そして、いつもみたいに出勤したある日、なんだか妙な違和感感じたわけさー。
お客さんいないのは慣れてたけど、その日は違ったさー。
いつも外にいる「あいつ」が、今日はバックヤードにいるさー。

「あいつ」は、いつの間にか店の中に入ってバックヤードで何か探してる感じだったさー。
なんで気づかなかったかね〜、それに音立てても全然平気な感じだったのも、あとから分かることになるさー。

僕は従業員専用の出入り口を開けて、暗い倉庫にそーっと近づいたさー。
「あいつ」が何かぶつぶつ言いながら探し物してるの気づいて、体が固まったさー。
猫背で真っ黒、すすまみれみたいな姿は、ちょっと人間じゃない感じだったさー。

―ない……ない……

何を探してるのか、ダンボールの積まれた床を見て、ぶつぶつ言ってたさー。
「ない……」って。
そしたら急に黒い猫背が動き止めて、ゆっくりこっち見ようとしたさー。

―顔は……どこだ……

見てみたら、首から上がない血だらけの“何か”が、こっちににじり寄ってくるところだったさー。
でーじびっくりして、僕はとっさに電気つけて、もう振り返らずに店内に逃げ出したさー。

それからさー、僕は怖くなってコンビニ辞めたけど、今度は家の周りに黒い影がうろうろするようになったさー。

―ない……ない……

そのうめき声聞くたびに、ちょっと気分悪くなるさー。
顔のない「あいつ」の声、いったいどこから聞こえてくるんだろうね〜。