小学校低学年の頃、駅で母の手を離し、人混みに流されてしまった経験があります。
目の前で母の姿が遠ざかっていく時、不思議と怖さや寂しさは湧かず、ただ静かにその光景を眺めていました。
プラットホームの向こうには、初めて会うはずなのに懐かしさを感じる親子の姿がありました。
やがて白と青の電車が現れ、その親子の姿は消え、電車は一瞬、幻のような不思議な景色を見せてくれました。
後になって、その少女が私自身に酷似していたこと、着ていた制服や細かな特徴まで同じだったことに気づき、少し怖くなったのを覚えています。
この一件から、いくつかの大切な学びを得ました。
まず、身近な存在ほど、その大切さに気づきにくいものです。
母と手をつないでいた時には、どれほど自分が守られていたか、意識しませんでした。
けれど、手を離れた瞬間、当たり前のように感じていた「安心」が突然遠ざかります。
もし、あなたのそばにも、何気ない日常を支えてくれている人がいるなら、その存在を改めて意識してみてはいかがでしょうか。
また、困難な状況や不安な出来事に直面した時、人は思いがけず冷静でいられることもあります。
恐怖や寂しさにとらわれるのではなく、一歩引いた視点で自分自身や周囲を見つめることで、予期せぬ気づきや成長につながることがあるのです。
もし今、迷いや不安の中にいるなら、「これは自分が自分を見つめ直すための時間かもしれない」と考えてみるのも一つの方法です。
さらに、人生には「自分自身に出会う」瞬間があるのかもしれません。
幻のように現れたもう一人の自分。
それは、過去の自分か、あるいは未来の自分か、心の奥底に眠る本当の自分なのかもしれません。
時には、自分自身を客観的に見つめることが、成長や変化へのヒントになることもあります。
この経験を日常に活かすためには、次のような小さな一歩から始めてみることができます。
・家族や大切な人と過ごす時間を、意識して味わってみる
・不安や迷いが生じた時、「今の自分はどう感じているのか」と立ち止まってみる
・時には自分自身を外から眺めるような気持ちで振り返り、今の自分に必要なものを考えてみる
過去の自分を見つめ直すことは、決して後ろ向きなことではありません。
それは、これからの自分をより大切に生きていくための、ささやかな準備でもあります。
あなたにも、ふとした時に自分自身を見つけ直し、大切なものを再発見する瞬間が訪れるかもしれません。
そのとき、どうかその気づきを大切にしてください。
不思議な話:見失った先で気づく「本当に大切なもの」──迷いと再会の教訓
見失った先で気づく「本当に大切なもの」──迷いと再会の教訓
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