駅で見た“もう一人の自分”――幼少期の幻影体験を専門家が分析

■リード：
幼少期に「自分そっくりの少女」を駅のホームで目撃した――。
取材班は、東京都内在住の女性Aさん（仮名・30代）に、低学年時代に体験した不可思議な出来事について話を聞いた。
Aさんは、母親と親戚を訪ねるため駅を訪れていた際、人混みの中で母の手を離し、奇妙な幻影を目撃したという。
その体験を振り返ってもらい、専門家の見解も交えて検証した。

■突然の逸脱、そして“幻影”との遭遇
Aさんによると、出来事が起きたのは小学1～2年生の頃。
母親に連れられ、親族宅への移動のため駅を利用していた。
だが、「色とりどりの電車に惹かれて」母の手を離し、人混みに流されてしまったという。

Aさんは「母の姿が小さくなっていくのを、冷静に見ていた。
怖さや寂しさは感じなかった」と当時の心境を振り返る。
ホームの黄色い安全線に立ち、向かい側のホームをぼんやりと眺めていると、小柄な女性と少女の親子が目に入った。
女性は水色のコートを着ており、少女はAさん自身によく似ていたという。

「初めて見るはずなのに、なぜか懐かしさを感じた」とAさん。
直後、白と青の電車がホームに滑り込んできた。
通常であれば電車が親子の姿を隠すはずだが、「電車が親子を遮った瞬間、白と青のコントラストが煙のように消え、車体が透明になった。
乗客が浮かんで見え、ドアの開閉音だけが響いた」と語る。

■“もう一人の自分”の正体
その後、親子が電車に乗り込もうとした瞬間、「電車が突然自分の方に近づいてきた。
黄色い線との距離が1メートルもなかった」とAさんは証言する。
驚きつつも、特に恐怖や不安は湧かなかったという。

特に印象的だったのは、少女が「自分と同じ幼稚園の制服を着ていたこと」「自分と同じ位置に目立つほくろがあり、微かに微笑んでいたこと」だ。
Aさんは「自分を見ているようだった」と語る。

■白昼夢か、それとも…
この体験についてAさんは、「母を見失った寂しさから白昼夢を見ていた可能性もある」と冷静に自己分析している。
一方で、「あの光景を思い出すたび、少し怖くなる」とも打ち明けた。

■専門家の見解：幻影体験の背景
幻覚・幻視の研究を行う筑波大学の心理学者・山田和彦准教授は、「幼少期は想像力が活発で、強いストレスや環境変化がきっかけとなり、現実と空想の境界が曖昧になることがある」と指摘する。
山田准教授は「今回のケースも、母親から離れる不安や駅という非日常的な空間が複合的に影響し、一時的な幻視体験につながった可能性が高い」と分析。
その一方で、「子ども時代のこうした体験が、後の創造性や自我形成に影響を与えることもある」とも述べている。

■今後の展望と読者への問いかけ
Aさんは現在も「幻影体験」を時折思い出すが、日常生活に支障はないという。
幼少期の記憶には未解明の側面が多く、似たような体験を持つ人も少なくないとされる。
今後、こうした個人の体験が脳科学や心理学の進展により、より詳細に解明されることが期待される。

読者の皆さんは、幼少期の不思議な体験をどのように捉えるだろうか。