犯人は、同じ部署のおじさんだった。
その事実に気づいた瞬間、島内は大爆笑に包まれた。
しかし、それまで誰も、あの無言電話の正体が身近な人物だとは思いもしなかったのだ。
少し前のこと。
外線電話を取るのは新人である私の役目。
いつものように受話器を取ると、無言のまま切れてしまう電話が続いた。
二度目には「あっ…」という微かな声が聞こえたが、すぐに回線は切断された。
「イタズラ電話かな?」と疑念が浮かぶも、どこかで聞いたことのある声にひっかかりを覚えていた。
その時、ふと視線を向けると、同じ部署のおじさんが妙にそわそわしている。
周囲の先輩たちも異変を察知し、事態は一気に加速する。
彼の挙動を見て、すべてが繋がった。
無言電話の主は、まさかの身内――そのおじさんだったのだ。
話は、新卒で入社したばかりの私は、外線を受ける係に任命された日までさかのぼる。
外線は島に一台きり。
他の社員は内線専用の電話を使っていた。
そんな中、業者と間違えたのか、用事の途中で手が滑ったのか、うっかり外線にかけてしまったおじさんは、咄嗟に無言で電話を切ってしまったらしい。
実は、その後も何度か無言電話が続き、そのたびに私たちはおじさんの様子を確認するのが恒例となった。
「間違えたとしても、無言で切らないでくださいよ…!」と皆から総ツッコミを受けつつ、島には笑いが絶えなかった。
誰も予想しなかった結末。
無言電話の犯人が、こんなに近くにいたなんて――あの日以来、外線電話が鳴ると少しだけ、みんなが和やかになるのでした。
仕事・学校の話:「無言電話の犯人は、まさかの身内だった――逆転社内ミステリー」
「無言電話の犯人は、まさかの身内だった――逆転社内ミステリー」
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