「さようなら」その一言で全てが終わった。
何もない部屋で、私は一人、静かに涙を流していた。
数日前、引っ越しの準備をしながら、現実を受け止めきれずにいた。
あの人と過ごした日々は、もう戻らない。
私たちは別れることを決めたのだ。
あの夜、私はついに尋ねてしまった。
「仕事と私、どっちが大切なの?」と。
彼はしばらく黙った後、静かに「夕紀のことは本当に大切。
でも今は仕事を手放せない」と答えた。
答えは分かっていたのに、心はどうしても納得できなかった。
かつては、職場で出会い、仕事への情熱で意気投合した二人だった。
付き合い始めて数ヵ月で同棲し、自然と結婚も意識していた。
あの頃は、こんな未来が待っているなんて思ってもみなかった。
しかし、どちらも仕事が生活の最優先。
家に帰れば、彼がいない日が続き、私は仕事が一番だと信じていたはずなのに、寂しさだけが募っていったのだ。
今思えば、彼の大切な夢や努力を、私は本当の意味で理解していなかったのかもしれない。
涙を流したあの日、私の未熟さと向き合うことで、初めて本当の別れの意味に気づいたのだった。
恋愛の話:「さよなら」で全てが終わった日――すれ違いの結末から始まる恋
「さよなら」で全てが終わった日――すれ違いの結末から始まる恋
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