「仕事と私、どちらが大切？」─共働きカップルの葛藤と別れの実態

「仕事と私、どちらが大切なの？」。
都内のIT企業で働く会社員の夕紀さん（仮名・30代）は、同じ職場で出会ったパートナーとの別れを、こう振り返る。
2023年秋、2人は数カ月の交際を経て同棲を開始。
しかし、仕事を最優先する生活が、思わぬすれ違いを生んだという。

■情熱で繋がった2人
職場で意気投合したきっかけは「仕事への情熱」だった。
夕紀さんとパートナーは、お互いにキャリア志向が強く、仕事に全力を注いできた。
交際開始から短期間で同棲し、自然と結婚も視野に入れていたという。

■すれ違う日常
だが、次第に「仕事優先」が2人の間に溝を生み始める。
同棲後も残業や出張で家にいない日が続き、夕紀さんは「寂しさが募っていった」と話す。
「私も仕事第一主義だったが、家で1人になる時間が増え、心のバランスが崩れ始めた」と振り返る。

■別れの決断
ある日、夕紀さんはパートナーに「仕事と私、どっちが大切なのか」と問いかけた。
パートナーはしばらく沈黙した後、「夕紀のことは本当に大切だが、今は仕事を手放せない」と答えたという。
その会話をきっかけに、2人は別れを決断した。

■残された後悔
数日後、引っ越し作業の最中、何もない部屋で1人涙を流した夕紀さん。
「彼の大切な仕事をもっと理解できていれば、違う結果になったかもしれない」と、自身の未熟さを振り返る。

■専門家の見解
共働きカップルのすれ違いについて、家族問題に詳しい臨床心理士の山口美咲氏は「価値観の共有や相互理解が不可欠。
キャリア志向同士でも、生活の優先順位や将来設計について丁寧な対話が必要だ」と指摘する。

■今後の展望
共働き世帯が増加する現代社会において、「仕事と家庭のバランス」は大きな課題となっている。
恋愛や結婚生活における価値観のすり合わせの重要性が、今後一層問われる時代となりそうだ。