静かに残された日々と、大切な人たちへの想い

嫁と娘が、一ヶ月前にこの世を去りました。
交通事故で車は大破し、単独事故だったと聞いています。
突然の知らせを受けた時、私は出張先の根室にいて、なんとか帰ろうとしたものの、その道中のことはほとんど覚えていません。
それだけ動揺していたのでしょう。

病院の霊安室では、包帯で覆われた彼女たちの姿がありました。
娘も全身ぐるぐると包帯で巻かれており、ぺしゃんこだったと後で聞きました。
こうした状態だったため、葬式の前に火葬を行うことになりました。

葬式の記憶も曖昧です。
密葬だったので、親戚以外はほとんど来ませんでしたが、幼稚園の先生や嫁の仕事先の上司が来てくださり、骨壷の前で涙を流してくれました。
けれど、私は涙を流すことができませんでした。

葬式が終わって帰宅すると、干したままの洗濯物や作りかけのご飯、作り置きのお菓子、点けっぱなしのPCなど、日常の風景が、静かに彼女たちの不在を伝えていました。
夜も朝も、一人きりで過ごしています。
仕事に行く気力もなく、部屋の整理を始めると、嫁と娘の姿や声が少しずつ思い出されて、もう二度と会えない現実が胸に迫ってきました。
三日ほど、涙を流しながら過ごしたように思います。

自殺を考えたこともありましたが、結局できませんでした。
毎朝、嫁と娘の夢を見ます。
夢の中で嫁は決まって「頑張ってね」と送り出してくれます。
私は娘にチュウをして、嫁にもして仕事に向かうのですが、知らない誰かに「もう居ないんだよ」と言われて目が覚めるのです。
眠れない夜も多いですが、眠ってもまた夢の中で「チュウしていないんだよ」と言われて起きてしまいます。

体がだるい時、嫁はぬるめの白湯とビタミン剤を用意してくれました。
肩が凝った時は、一生懸命に揉んでくれたことも思い出します。
嫁にハスカップが美味しかった話や、焼き鳥弁当の話をしたかったのです。
帰る時には蟹やエビ、ホタテや昆布を買って、娘には「まりもっこり」を買う約束もしていたことを思い出しました。
スワンという道の駅から撮った写真も、まだ送っていませんでした…。

娘の小さな布団は敷きっぱなし、嫁のカーディガンも椅子に掛けたままです。
みんな「時間が解決してくれる」と言ってくれますが、本当にそうなのでしょうか。
乗り越えた人は、きっと特別な存在なのではないかと感じます。
正直、今の私には無理そうです。